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【相続税対策の要となる不動産の評価方法】相続税において現金より不動産が有利な訳[POSTED]:2019-04-18

【相続税対策の要となる不動産の評価方法】相続税において現金より不動産が有利な訳

相続財産の評価における「時価」とは何か

相続財産の評価は被相続人が亡くなった日の「時価」が原則です。
しかし何をもって時価とするのか。
そもそも時価というのは曖昧で不定型なものです。
そこで財産を公平に評価するために、国税庁は「財産評価基本通達」によって、財産の種類ごとに「時価」の具体的な評価方法を定めています。
市街地にある宅地の評価方法として用いられているのが「路線価」です。
毎年7月1日頃にその年の「路線価」が国税庁から発表されます。
この路線価に宅地の面積を掛け合わせると、大まかな相続税評価額が計算できます。
一方、路線価が定められていない市街地以外の地域の宅地、田畑や山林などを評価する際に用いられるのが「倍率方式」です。
倍率方式ではその土地の「固定資産税評価額」に国税庁が定める「評価倍率」を掛け合わせて計算します。

相続財産の評価で必要となる路線価図の見方

路線価は「路線価図」で確認します。
路線価図は国税庁のホームページでも確認できます。
土地が面している道路が一つだけなら、路線価も一つです。
しかし二つ以上の道路に面している場合は、それだけ利用価値が高いという評価になるので、「正面路線価」に「側方路線価」を加味して評価します(計算方法は正面路線価+側方路線価×側方路線影響加算率)。
計算が少し複雑になるため、ここでは分かりやすくするために、路線価図で確認した路線価が「470C」である場合を想定して話を進めます。
路線価の表示は1000円単位なので、「470」ということは1㎡あたりの価値は47万円。
末尾の「C」は借地権割合のことで、アルファベット(A~G)で示しています。
借地権割合とは、人に貸している土地、人から借りている土地等を評価する際に必要な割合で、地域ごとに設定されています。
Cは借地権割合70%。もし家屋が借地(人から借りている土地)に建てられている場合、宅地の評価額は7掛けになるわけです。
敷地が約100坪(約330㎡)だとすると、
路線価(1㎡あたり47万円)×宅地の面積(約330㎡)=約1億5510万円となります。
ただし、これはざっくりとした計算です。
実際は土地の立地や形状、面している道路の数、道路からの奥行など、それぞれの状況に応じて加算したり、減算して、路線価を修正します。

相続税評価額の計算方法

おおよその相続税評価額は、路線価を調べなくても、その土地の公示価格さえわかれば割り出せます。
相続税評価額は公示価格の8割程度とされているので、公示価格に0・8をかければ、相続税評価額を出すことができます。
それから固定資産税評価額は公示価格の7割程度なので、固定資産税評価額が分かっている場合、それを0・7で割れば公示価格が算出できます。
それでは、公示価格が設定されていない土地はどうやって目安を知ればよいのでしょうか。
公示価格と実勢価格(取引価格)はまったく一緒ではありませんが、一般的にはほぼ同額と考えて、相続税評価額は実勢価格(≒公示価格)の約8割または約7割と考えても構いません。ただし、あくまでも目安なので絶対ではありません。

相続において不動産は現金や預貯金よりも優遇されている

相続税評価額や固定資産税評価額が公示価格や実勢価格よりも低く設定されているのには理由があります。
もし相続税評価額や固定資産税評価額のほうが高ければ、それだけ税金がかかってくるので、不動産資産を持っている人は売却を急ぐ。
そうすると相続財産の土地が安く買い叩かれる恐れが出てきます。
そういうことを防いで、土地価格の適正化を図るために、相続税評価額は公示価格の約8割、固定資産税評価額は公示価格の約7割を基準に通常の評価額より低く設定されているのです。
相続税評価額が公示価格や実勢価格の約8割で評価されるということは、相続税対策の上でも重要な意味があります。
つまり、不動産の相続は現金や預貯金を相続するのに比べて、税金的に優遇されているということです。
たとえば1億円の現金を相続した場合、額面通りに評価されて、1億円に対して相続税が課されます。
対して1億円で購入した土地を相続した場合はどうでしょうか。
相続税の課税基準である相続税評価額は、実勢価格(取引価格)の約8割だから8000万円。
相続税はこの8000万円に対して課されるので、現金1億円をそのまま相続するより相続税は安くなります。

不動産相続における優遇措置

不動産は高額財産だから相続税がかかってくるきっかけにもなります。
しかし評価の仕方や遺産分割の仕方によっては評価額を大幅に減額することも可能なうえ、相続税がほとんどかからなくなる「小規模宅地等の特例」のような優遇措置もあります。
そしていざ相続というときには、不動産は一般的な市場価格より評価額が低くなるのです。
一見「評価額が低くなる」というのは嫌な印象かもしれませんが、相続税の計算においては評価を低くできるということはお得なのです。
財産は現金で持っているよりも不動産で持っていたほうが相続に有利、といわれるのはこのためです。

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