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【契約書の作成がポイント】相続税対策としての贈与契約が成立するためには[POSTED]:2019-03-15
贈与したつもりでも相続税申告時には相続財産とされることも
父親が結婚資金のためにと、娘に内緒で銀行に口座を作り、十年もの間、毎年110万円ずつ贈与をしていた場合はどのような取り扱いがなされるのでしょうか。
110万円を10年間贈与すれば総額で1100万円。
父親は娘から結婚を告げられたときに、通帳ごとまとまったお金を渡したいと考えていたケースです。
贈与税の基礎控除を活用したこの親心、残念ながら、父親に万が一のことがあった場合には、娘は口座の中のお金を受け取ることはできません。
口座の中のお金は父親の財産として扱われることになり、相続税の申告のときには相続財産して申告する必要があります。
どうして年110万円の非課税額の枠内で贈与しているはずなのに、相続財産として申告する必要があるのでしょうか。
受け取る側が知らなければ贈与とは認められない
「贈与」を広辞苑で調べると「①金銭・物品などをおくりあたえること」とありますが、法律の世界ではもっときっちり定義されていて、「②自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方がこれを承諾することによって成立する契約」です。
①の意味では問題ありませんが、②の「贈与」の意味からすれば、大きな問題があることになります。
父親は内緒で娘の名義の銀行口座を作って、そこに贈与分のお金を振り込んでいました。これが問題となります。
贈与は、贈与する側(贈与者)が「あげるよ」と贈与される側(受贈者)に意思表示し、受贈者が「もらいます」と贈与者に意思表示するという「贈与の合意(意思表示の合致)」があって、初めて契約として成立します。
父親が毎年110万円を娘のために贈与したつもりでいたとしても、受贈者である娘がこれを知らなければ「贈与」とは認められないのです。
たとえ娘の名義の銀行口座でも、父親がお金を振り込んで管理している場合には、父親の口座として認定されてしまいます。
ということは父親の相続財産ですから、父親の死後には遺産分割の対象となり、せっかくの親心を丸々受け取ることができなくなる可能性が高くなります。
相続税申告時において贈与と認められるためには
まず大事なのは「贈与」としての要件を満たすこと。
できることなら、贈与の際に双方に「贈与の合意」があることを確認するような内容の契約書を作成しておいたほうが良いでしょう。
「いつ、いくら贈与した」という贈与の事実を記して、贈与者と受贈者の署名・捺印があれば、立派な契約書になります。
「自分の子供に生前贈与するのに契約書を交わすなんて」と思うかもしれませんが、贈与の事実を証明して、相互の意思確認が明確になる一番確実な手段なのです。
もう一つ、確定申告を行うという手もあります。
たとえ少額でも贈与税を支払うことで自動的に税務署に贈与の証拠が残ります。
たとえば111万円の贈与をすれば、相続税がかかってくるのは110万円の基礎控除額を差し引いた1万円だけです。
1万円に対する贈与税の税率は10%ですので、贈与税はたったの1000円。
それで贈与の証拠になって多額の贈与税が課せられるリスクが軽減されるので、一石二鳥税の賢い選択といえるでしょう。
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