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【遺産分割では時価評価が原則】相続税申告における不動産評価額を遺産分割において使用すべきでない理由[POSTED]:2018-12-15
相続税申告と遺産分割で大きく異なる不動産評価
相続税の納税申告が必要となる場合は、専門家による真っ当な評価として一人歩きしがちなのが、不動産評価です。
不動産の評価額は相続税の納税と遺産分割とで大きく異なります。
相続税の申告においては、相続発生時における路線価や固定資産税評価額を基準に不動産を評価します。
一方、遺産分割においては、遺産分割時における時価を基準に不動産を評価します。
路線価は時価の8割程度になるように設定されていますから、当然時価評価よりも路線価評価のほうが低額になります。
不動産を相続するか否かで主張する評価額に差が生じる
不動産の価格は、社会情勢や経済情勢の影響を受けて日々変化します。
相続時にはあまり高い評価とならなかった不動産であっても、遺産分割協議が長引いているうちに、予想を超えるような高値になることもあります。
その逆のパターンもあり得ます。
不動産を相続する相続人は低額の評価額である路線価による評価額を主張するでしょうし、不動産を相続しない相続人は時価評価を主張するでしょう。
また、相続税申告の際に基準となる路線価は客観的な評価です。
つまり、その不動産に対する相続人らの思い入れや換金性などは考慮されません。
交通の便が悪く相続人の誰もが欲しがらない不動産について、路線価とおりに評価して遺産分割をしようとすると、不動産を取得する相続人が損をしてしまうこともあります。
税理士作成の財産目録では不動産の時価評価は不可能
不動産が貸し付けられていればさらに減額評価がされています。
小規模宅地等の特例を利用する場合には、不動産評価は大きく減額された数字になります。
この数字をもとに遺産分割を進めてしまうと、不動産を相続する相続人に圧倒的に有利な遺産分割が成立することになってしまいます。
というのも、税理士の作成する財産目録では、不動産のうち土地の評価額が路線価方式に基づいて算出されています。
税理士作成の財産目録に記載されている評価をそのまま採用することによって、不動産は本当の意味での時価評価ではなくなってしまうのです。
無意識に税理士作成の財産目録を使用しているケースも
不動産を取得する相続人が、税理士作成の財産目録に記載された不動産評価額でやり過ごすことによって、意図的に自己の取得する不動産の評価額を実際の時価よりも下げて、不動産以外の相続財産を多く取得する、ということであれば話はわかります。
ところが、経験上、税理士作成の財産目録における不動産の評価額をそのまま採用せずに、遺産分割において時価評価に換算し直すのが筋であるという原則を、そもそも意識していない相続人が多いように思われます。
不動産を取得しない相続人にとっては、路線価方式で土地を評価することが不利になるはずなのですが、そのこと自体を意識していないケースも多いのです。
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