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【胎児が問題になる相続】法定相続人を刑法と民法で考える[POSTED]:2016-09-05
相続ではなく刑法では?
相続の話から離れますが、刑法では、胎児はどのように扱われているでしょうか。
例えば、「人」を殺害した場合に問われる殺人罪は、胎児を対象としていません。
刑法では、胎児の体が一部でも母体の外から見えた時点から、「人」になるというのが通説であり、判例の立場でもあります。
従って、母親のお腹の中にいる限り、意図的に危害を加えて死なせても殺人罪にはならないという解釈になるのです。
刑法での保護
我が国では、母体保護法によって、身体的・経済的理由で母体の健康を著しく害する時など一定の条件を満たした場合、医師による人工中絶を認めています。
一方、刑法では、女性が自ら薬を飲むなどして堕胎する「自己堕胎罪」(212条)、女性から依頼を受けて堕胎させる「同意堕胎罪」(213条1文)、女性の依頼や承諾を得ずに堕胎させる「不同意堕胎罪」(215条1項)に対する処罰を定めています。
これらの刑罰が実際に適用されることは稀ですが、平成21年初めころ医師が交際相手に薬剤を投与して流産させたとして、不同意堕胎罪で同22年5月に逮捕され、有罪判決を受けたケースがありました。
この医師は、妊娠した交際相手に「ビタミン剤」だと偽り、子宮収縮止血作用のある錠剤や粉末を服用させた上、栄養補給を装って陣痛誘発剤を点滴し、流産させたといいます。
人の命を救うべき立場にある医師の専門知識を悪用した点で、非常に悪質な犯罪と言えるでしょう。
妊娠中で胎児がおなかの中にいる相続
相続においては胎児は生きて生まれてきた段階で遺産分割に参加できることになります。
通常、生まれてきたことを条件にした遺産分割をするのではなく、生まれてくるまで遺産分割を中断する扱いになります。
妊娠してから出産まで9月程度ですから、相続税の申告義務がある相続ですと、支障があるかもしれません。
生まれてきた胎児に対して特別に代理人をつける必要もあるので、相続手続きも複雑になります。
面倒を避けるには、遺言を作成するのも1つの方法です。
ただしまだ子供が生まれてくる年代の方が被相続人になるケース、しかもそれを事前に予知できるケースは極めてまれでしょう。
若くして資産を築きながら、末期がんにり患してしまい、妻のおなかの中に胎児がいるケースなどが考えられます。
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