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【特定の相続人に相続させたい場合にはどうすべきか】経済的合理性より作成者の思いを重視した遺言作成[POSTED]:2018-07-06
ある不動産賃貸業のオーナーは、決して数字に強くはない長男に、賃貸物件を委ねる遺言を書きました。
次男の方が経営手腕は確かであるにもかかわらず、です。
掃除などの物件管理を長男が進んでやってきたこともあったのでしょうが、外注で合理的に賃貸経営を進めるべきという次男の考えも傾聴に値するものでした。
この不動産はぜひ長男に守ってもらいたい、次男に任せると売却されることもありうる、と考えたからでしょうか。
もちろん、感情を十分に汲んだ遺言内容が、必ずしも合理的であるとは限りません。
特に不動産は昨今、物件ごとの資産価値や収益性の差が激しく、持っていればどれでもよいというものではありません。
不動産のプロは、残すべき不動産と処分をすべき不動産とに分けることをアドバイスします。
にもかかわらず、なかなかオーナーが実行に移せないのは、所有しつつ住むことによって思い出と結びつきやすい不動産の特性ゆえなのでしょうか。
1000万円あれば高級外車が買えます。
車は壊れるまでずっと乗ることができる。
でもあえて1000万円を、たった1週間の旅行で、使い切ってしまう。
年を重ねて経験を積んだ社長によると、「思い出は壊れることがなく、永遠に残る」のだそうです。
不動産も思い出と密接に結び付くものです。
壁のシミや柱の傷などの痕跡1つ1つが、自分の人生の証です。
だからこそ不動産の相続については、特定の相続人を指定したいという気持ちが強いのです。
遺言を書く人はある意味で自分の死を考え、人生を総括しようとしています。
経済的合理性より、死後も永遠に残る思い出を重視するのも、理解できる行動なのです。
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