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【裁判官の心証を読み取ることが重要】裁判官と弁護士[POSTED]:2019-02-21
相続裁判の和解の場面でわかる裁判官の心証
弁護士の活動に対して終局的な判断をするのは裁判官です。
裁判官が判断を下すのは判決によってですが、判決前に心証を開示することは制度上保障されていません。
裁判官の心証開示は必ずしも行われるとは限らないのです。
裁判官の心証を一番読み取れるのが、和解の話合いの場面です。
和解の話合いは一般的に、証人尋問の前後に和解の可能性があるかどうかを確認して行われます。
証人尋問の前に話し合われる場合は、そこまで心証が開示されない場合もあります。
証人尋問の後に話し合われる場合は、証人尋問も行って当事者のガス抜きをしているということもあって、裁判官によっては積極的に和解を成立させたがりますこの場合に、心証開示をすることが多いようです。
裁判官が実際の心証と異なる物言いをすることも、全くないわけではありません。
開示する度合いも裁判官によって異なります。
このような判決になる見込みだと明らかにする裁判官もいますし、疑問点や問題点の指摘にとどめる裁判官もいます。
必ずしもカードの裏を見ることができるとは限らないのです。
相続事件では釈明内容から裁判官の心証を読み取る
和解の場面のほかに裁判官の心証開示が問題になる場面としては、釈明があります。
釈明は、裁判官が当事者の主張の不明確な点を明確にするように求めることです。
民事裁判では何を主張し何を証拠として出すかはすべて当事者に任されています。
当事者があえて主張していない事実を、裁判官が促して主張させることはできません。
これを「弁論主義」といいますが、弁論主義にも修正があり、裁判所が事件の内容や法律関係を明らかにするため、当事者に対して事実などを質問したり、証拠を提出するよう促したりすることがあります(民事訴訟法149条)。
当事者の主張が不十分なときに示唆したり指摘したりする積極的釈明と、当事者の主張が十分ではあるものの不明瞭な場合に行う消極的釈明があります。
積極的釈明を行うと、敗訴するはずの当事者が勝訴するなどの事態になることもありますので、不公平な裁判と捉えられかねず、積極的釈明の行使は抑制的に行われるとされています。
相続裁判で心証が明確に示唆されることは少ない
弁護士が裁判において、裁判官の心証を感じ取ることはあります。
心証の示唆は明示になされることもありますが、黙示になされることのほうが多いようです。
例えば、証人尋問ののちに、裁判官が心証を開示して、判決前の和解の可能性を探るとしましょう。
相続事案はそもそも家族内での対立なので、家族問題なのだからという理由で、和解を勧めたがることが多いようです。
和解を勧める際には、この状況ではどのような判決内容になるか、そうなっても問題の本質解決には至らないという物言いがされることが多いようです。
裁判官の心証開示といっても、裁判官の個性にもよります。
和解勧奨は通常、双方の代理人が入れ替わりに裁判官がいる部屋に入ってやりとりが行われるため、二枚舌を使う裁判官もいます。
対立当事者の代理人もいるので、トランプの裏をはっきりと見せてくれることはまれです。
特に勝ち負けが微妙な事案においては、明確な示唆がなされることを期待することはできません。
判決を下す裁判官自身が事前に非公式に心証を開示することは、現場の示唆の仕方や前後関係の問題も絡み、人間の機微の問題でもあるのです。
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