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【国の徴税権が消滅することはあるのか】贈与税に時効はあるのか[POSTED]:2018-11-19
国税の徴収権にも時効がある
贈与があった場合、期限までに申告・納税を済ませるべきであることは言うまでもありませんが、期限を過ぎても贈与税を支払わずにいた場合、贈与税を支払わなくてもよくなる日は来るのでしょうか。
つまり、贈与税に時効はあるのでしょうか。
国が納税者に対して請求することができる権利が時効により消滅するのかという問題です。
結論からいうと、国税の徴収権にも時効があります。
時効制度の基本
まずは時効制度について見てみましょう。
時効とは、ある事実状態が一定の期間継続したことを法律要件として、その事実状態によって権利・法律関係を発生させたり消滅させたりする制度です。
つまり、一定の時間的経過によって維持されてきた現状を尊重して変更せずに、そのままの状態が続くことを予想している当事者の期待を尊重するものです。
なぜ、一定期間維持されてきた事実状態を尊重するのかというと、以下の3点を理由としてあげることができます。
①一定期間継続した事実状態が存在する場合、それを前提に様々な法律関係が形成されるため、そのような法律関係に一定の保護を与え、取引の安全を図ることがあげられます。つまり、永続した事実関係を尊重しようということです。
②仮に正当な権利であっても、一定期間その権利を行使・維持するために必要な措置を講じなかった者を保護する必要はない、ということがあげられます。権利の上に安穏と眠る者を保護しないということです。
③本来は正当な権利者であったとしても、長期間が経過した後にはそれを立証するのが困難であることから、過去に遡って権利を主張することに一定の限界を設ける必要があることがあげられます。権利関係について争いが生じた際、立証が困難であるケースが多いことから真の権利者を救済しようということです。
徴税権にも時効が認められる理由
こうした時効制度の趣旨を徴税権に当てはめて考えてみると、徴税権者である国が一定期間その権利を行使できるにもかかわらずそれを行使しないという事実状態が永続するのであれば、納税者としてもその事実状態を基礎にして行動するでしょうし、納税者を取り巻く第三者もこのような事実状態を前提として納税者との取引行為を進めることになるでしょうから、永続した事実関係を尊重するという①の趣旨が妥当します。
また、徴税権者である国は、具体的に確定した税額について一定期間内であればいつでも権利行使することができることから、徴税権者である国が権利行使しないということは、権利の上に安穏と眠る者であるということになり、権利の上に安穏と眠る者を保護しないという②の趣旨が妥当することになります。
さらに、国の財務処理の迅速性や決済の簡易性という点から検討しても、長期間が経過した後には徴税権の存在を立証することは困難であることから、立証の困難性から権利行使に一定の限界を設けるという③の趣旨も妥当します。
消滅時効が問題
時効には、一定期間権利が行使されない場合にその権利を消滅させる消滅時効と、他人の物や財産権を一定期間継続して占有または準占有する者にその権利を与える取得時効があります。
贈与税の時効という場合、消滅時効が問題となります。
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