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【最終的には裁判で争うことになる名義預金】遺産分割では名義預金の所有権が問題[POSTED]:2018-12-09
遺産分割においては相続税申告と統一的に考えない
名義預金の問題はそれだけで紙幅を要しますが、相続税申告において贈与の成立が否認される名義預金でも、遺産分割において贈与税と統一的に考えるとは限りません。
相続税の税務調査において名義預金性が認定されたとしても、遺産分割においてなお贈与を主張したり、独自の財産であることを主張したりすることは何らおかしなことではないのです。
法の二元性ということなのですが、税法で贈与が否定されたとしても、あるいは被相続人の財産であることが認定されたとしても、民法においてなお贈与を主張したり、自分の財産であることを主張したりすることは許されます。
遺産分割の裁判で相続財産性を争うことも
問題になるのは、税務調査において被相続人の財産であることを認めて修正申告をした場合です。
税務調査で相続財産であることを認めながらも、遺産分割の裁判において踵を返して、贈与の有効性や自分の財産であることを主張することは矛盾挙動なのではないかという疑問があります。
信義則に反して許されないという見解もあるでしょう。
しかし実際にそのような主張をすることはあり得ますし、法の二元性、相対性は広く認められた概念です。
修正申告後の裁判で相続財産性を争うことも可能
税務調査の結果、兄の隠し財産が見つかり、相続財産であることを指摘されて修正申告をした事例です。
この時新たに見つかった財産については、修正申告の前提として兄と弟で遺産分割協議書を作成します。
その遺産分割協議を成立させないと、付帯税の加算により弟としても財産が目減りしてしまいます。
兄は遺産分割協議において「納税用の便宜的なものである」という留保条項付きで遺産分割協議をまとめ、納税後に兄弟で遺産確認訴訟を争うことになりました。
兄は「税務調査において相続財産性を認めたのは本意ではなかった」と強弁し、遺産ではなく自分の財産であることを主張しました。
兄の主張は無理なものとも思えますが、状況次第では、このような主張が出てくることもあります。
もともと税務調査における修正申告は任意に自主的に修正するものですから、税務署が主張立証に成功したというものではありません。
ところが裁判では、最終的には証明できるかどうかが問題になります。
修正申告をした事実は相続財産であることを自認したかのような証拠にはなりますが、それだけで単独で相続財産であることを証明するのは、なかなかハードルが高いのです。
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