sozoku.com相続専門の弁護士・税理士による
ワンストップサービス

ブログ・相続最前線 遺産相続の弁護士・税理士相談はお任せ下さい|sozoku.com

【名義財産と認定されないためには】遺産分割と相続税における名義預金に対する考え方[POSTED]:2018-12-03

【名義財産と認定されないためには】遺産分割と相続税における名義預金に対する考え方

相続において名義財産として問題となる財産

依頼者の中には、名義預金について聞いたことがないという方もいらっしゃいます。
実態と名義のズレが存在する財産が名義財産と呼ばれ、具体的には預金、不動産、株式が問題になります。
というのも、名義財産という以上は名義があることが前提で、物の中で名前が書いてある財産の代表が、これらの財産であるからです。
他にも、自動車が問題になることもあります。自動車については登録制度が完備されており、名前がついている財産といえるからです。
名義財産として把握されるものの中では、預金が圧倒的に多く、続いて株式や不動産も問題になります。
実態と名義のズレが存在する名義財産は、その財産の真の所有者が誰であるのかについて、相続人間で争いになり、裁判で決着をつけなければならないことにもなります。

相続における名義財産の判断基準

法律では、資金を出した人が所有者とされます。
たとえ息子名義の不動産であったとしても、父親が実際にお金を出して購入しているのであれば、その不動産は父親の財産ということになるのです。
名義財産の判断基準として判例があげているのは次の5つのポイントです。
① 財産または購入原資の出捐者
② 財産の管理および運用の状況
③ 財産から生ずる利益の帰属者
④ 被相続人とその財産の名義人ならびにその財産の管理および運用する者との関係
⑤ 財産の名義人がその名義を有することになった経緯
これらの事情を総合的に考慮して、名義人と出捐者に齟齬が生じているかどうか、名義財産に当たるかどうかを判断することになります。

管理と運用の状況が重要なポイント

特に問題となるのが、②財産の管理および運用の状況についてです。
具体的には、実際に預金通帳やキャッシュカードを名義人が保管しており、自由に財産を処分できるかどうかが問題となります。
例えば、孫名義の預金口座を開設して贈与したつもりになっていたとしても、預金通帳やキャッシュカード、銀行届出印を受贈者の孫ではなく贈与者の祖父が保管していた場合には、孫の預金とはみなされず祖父の財産ということになり、贈与は成立していないことになってしまいます。

相続において名義財産と認定されないためには

具体的にはどのような対策を講じれば、名義財産と認定されるのを回避することができるでしょうか。
まずは、孫との間で贈与契約書を作成することです。贈与は贈与者と受贈者との間で「贈与の合意」があってはじめて成立します。
孫へのサプライズとして、孫には内緒で孫名義の口座に振り込んだとしても、贈与は成立しないのです。
贈与の合意の存在を客観的に示すために契約書の作成は必須といえます。
そのうえで、孫の住所の近くの金融機関で口座を開設します。
あえて贈与税の申告を行うのも効果的な方法といえます。
つまり、毎年基礎控除額110万円を超える贈与を行い、孫が確定申告を行うのです。
例えば、祖父から孫に111万円を贈与し、基礎控除額を超えた1万円分に対してのみ贈与税を支払うのです。110万円以上を超えた1万円に対する税率は10%ですから、この場合の贈与税額は1,000円です。
確かに確定申告をする手間は増えるのですが、贈与が否定されて名義財産扱いされてしまうリスクを軽減することができるのですから、積極的に活用すべき方法といえるでしょう。
また、孫に関する生活費や教育費をその口座から支出して、実際に孫がお金を使っているという事実を裏付ける必要があります。
孫の浪費が心配な場合には、生命保険を活用するとよいでしょう。
孫に生命保険を契約させ、保険料を孫の口座から引き落とすのです。
こうした対策を講じたとしても、税務署から名義財産と認定される可能性は理論上、完全には否定できませんので注意が必要です。

この記事と
関連性の高いページはこちら

遺産分割の弁護士.com

遺産分割のことなら『遺産分割の弁護士.com』

預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を勝手に書き換える。財産の不正操作と徹底的に戦う覚悟がある方のお力になります。

相続税の税理士.com

相続税のことなら『相続税の税理士.com』

生前にどれだけ詳細にシミュレーションすることができたかで、相続税対策は決まります。遺言内容にも影響しますので、多方面からの検討をする意味でも弁護士兼税理士にお任せ下さい。

ページトップへ戻る

ブログ・相続最前線 』のその他の記事

遺言の増加に伴う争族。認知症の疑いによる無効を防ぐためには
普及が加速する遺言 遺言を作成することの重要性は、ここ数年でかなり浸透しています。実際に事務所に来られる相続発生後の相談者の中で、遺言を持参される方はこの10年間でかなり増えました。10年前は遺言を持参されるケースは極めて少数でしたが、今は逆に法律事務所に相談する相談者の半分以上は、遺言を持参されている印象です。日本公証人連合会公表による全国で作成された遺言公正証書の件数も、年々増加傾向にありま…
2021-10-14 [ 相続弁護士の最前線 ]
相続税対策や相続争い(争族)における養子縁組』で氏は変わる?
相続税対策や相続争いにおいて、特定の相続人の遺留分を少なくするために養子縁組をすることは、非常に有効です。それにもかかわらず養子縁組を躊躇される方が多いのですが、理由の1つは氏が変わるからというものです。養子縁組をすると必ず氏は変わるのか。変わらないために何か対策はないのかを考えます。 養子縁組をした場合の養子の氏がどうなるかは、養子になる方の属性によって異なります。まず養子が単身者で結婚をして…
2021-09-10 [ 相続弁護士の最前線 ]
相続税申告が間に合わないときには
相続税の申告には期限があります。相続開始から10カ月以内、つまり被相続人が亡くなってから10カ月以内、もしくは、被相続人の死亡を知ったときから10カ月とされています。ちなみに納付期限と申告期限は同じです。 10カ月と聞くと一見長いようにも感じますが、相続開始からの10カ月は本当にあっという間に過ぎ去ります。相続人が複数人いた場合、そう簡単に遺産分割は終わりません。しかし、相続税は遺産分割が終わっ…
2021-09-01 [ 相続弁護士の最前線 ]
相続税の申告期限を過ぎるとどれくらい損する?
相続税には納付期限があります。相続開始から10カ月以内、つまり被相続人が亡くなってから10カ月以内、もしくは、被相続人の死亡を知ったときから10カ月とされています。 10カ月と聞くと一見長いようにも感じますが、相続開始からの10カ月はあっという間に過ぎ去ります。相続人が1人であれば問題はありませんが、複数人いた場合はそう簡単に遺産分割は終わりません。相続税は遺産分割が終わっていない場合でも、10…
2021-08-31 [ 相続弁護士の最前線 ]
配偶者居住権と注意点
平成30年7月、約40年振りに「相続法」が大きく改正されました。相続法改正の中でも、よく耳にするのが「配偶者居住権」という新しい権利。配偶者居住権という言葉は知っているが、内容については知らない方のために、配偶者居住権の内容と配偶者居住権についての注意点についてわかりやすく解説していきます。 1、配偶者居住権とは 配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身又は一定期間…
2021-04-15 [ 相続弁護士の最前線 ]
    ページトップへ戻る
    他にはないサービス。無料相談は原則、受け付けません。

    無料相談を掲げる法律事務所とは一線を画し、価格競争には参加せず、報酬に見合う良質なサービスを提供しています。他の弁護士事務所にできないミッションを達成し、紛争解決に集中してリソースを割くために、相談対象を紛争性がある相続事件に限定しています。
    「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している方は電話相談(初回15分)・メール相談(1往復のみ)・土日夜間の電話相談(初回15分)で対応します。

    相続税を納める必要があり、
    かつ遺産分割でもめている方は相談無料

    来所ビデオ通話電話・メール・土日夜間
    相続税の納税義務があり、
    かつ遺産分割でもめている事件
    無 料1時間:62,000円税別電話:初回15分
    メール:初回1往復
    土日夜間:初回15分
    無 料
    内容証明が届いた事件1時間:12,000円税別
    ※来所困難な方に限り、
    1時間30,000円税別にて
    電話相談に応じます。
    対立当事者に弁護士が就いた事件
    調停・裁判中、調停・裁判目前の事件
    弁護士を替えることを検討中の事件
    その他、紛争性がある事件
    (潜在的なものも含めて)
    非対応
    税務に関する法律相談1時間:50,000円~税別1時間:100,000円~税別
    国際法務・国際税務に関する法律相談1時間:100,000円~税別1時間:150,000円~税別
    来所ビデオ通話電話・メール・土日夜間
    内容証明が届いた事件1時間:
    12,000円(税別)
    ※来所困難な方に限り、1時間30,000円(税別)にて電話相談に応じます。
    電話:初回15分
    メール:初回1往復
    土日夜間:初回15分
    無 料
    対立当事者に弁護士が就いた事件
    調停・裁判中、調停・裁判目前の事件
    弁護士を替えることを検討中の事件
    その他、紛争性がある事件
    (潜在的なものも含めて)
    非対応
    税務に関する法律相談1時間:
    50,000円~(税別)
    国際法務・国際税務に関する法律相談1時間:
    100,000円~(税別)
    来所予約・お問い合わせ
    03-5532-1112 9:00~18:00 土日祝日除く※お電話又は予約フォームにて法律相談のご予約をお取り下さい。
    ※小さなお子様の同伴はご遠慮ください。
    商標登録を行いました「磯野家の相続」