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【評価額が問題となる不動産相続】遺産分割において評価しにくく、分けづらい不動産[POSTED]:2018-11-15
遺産分割において評価しにくい不動産
不動産の価値に関して、遺産分割においては時価で評価することになります。
この時価評価について、そもそもはっきりとした数字が出しにくい問題点があります。
はっきりと算出しにくいという点に加えて、相続人の利害状況によって恣意的に評価額が歪められがちであるという点も問題といえるでしょう。
不動産を相続する相続人にとっては、不動産の評価額を少しでも下げたいという動機が働きます。
不動産の評価額を下げることができれば、他の相続財産を少しでも多くもらうことができますし、代償金の金額を抑えることもできます。
他方で、不動産を相続しない相続人にとっては、不動産の評価額を少しでも上げようという動機が働きます。
不動産の評価額を上げることによって、不動産を相続する相続人が、不動産以外の相続財産について相続分を主張しにくくできますし、自分が受け取る代償金の金額を増やすことができるからです。
同じ不動産に対して異なる評価の評価書が提出されることも
結果、不動産を取得する相続人は不動産価格を過小評価する評価書を、不動産を取得しない相続人は不動産価格を過大評価する評価書を、それぞれ提出し合うことになるのです。
同じ不動産に対して全く異なる評価の評価書が提出されることになりますから、実際にその不動産をどのように評価すべきかについて争いになることは明らかです。
もちろん最初から不動産鑑定士に依頼し、不動産鑑定書を作成して提出することもできますが、大多数は不動産業者の私的鑑定書を提出します。
不動産業者による査定は無料であることから依頼しやすいですし、不動産業者も売却時の媒介契約を担当したがりますので、基本的には快く査定の依頼を受けてもらえるのです。
最終的には不動産鑑定士に依頼することに
小さな都市で双方が同じ不動産業者に依頼してしまうと、「できるだけ安く鑑定してくれとすでに頼まれている」などと不動産業者が口を滑らせてしまい、問題になることもあります。
このような私的鑑定は、当事者双方が自分に有利な内容の鑑定結果を出し合うことによって真偽不明になりますから採用することができず、最終的には不動産鑑定士に依頼することになります。
鑑定費用は相続分に応じて折半することが多いようです。
裁判所での調停が係属中に不動産鑑定士に依頼する場合は、少なくとも不動産鑑定士の評価についてはどのような結果が出ても争わない旨の約束をしてから鑑定をすることが多いです。
せっかく鑑定をしても、その結果について争いが生じてしまったとしたら、鑑定を行ったこと自体が無駄になってしまうからです。
分けづらく、評価しにくいのが不動産です。それでも共有の愚は避けるべきというのが、大前提といえます。
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