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【相続税の税務調査を活用する方法も】遺産分割における私人としての弁護士[POSTED]:2019-02-25
相続裁判で明らかになる範囲
弁護士は裁判になってもやはり私人として調査能力に限界があります。
依頼者の中には裁判になると隠し資産が明らかになる期待を持つ方が多くいます。
しかし一般の民事事件でも同様ですが、基本的に証拠は自分で集めることになっています。証拠が集まらなければ勝てる裁判も勝てません。
裁判官の前では実際に起こった真実が明らかになるという期待を抱く依頼者がいますが、証拠がなく、実際に起きた事実とは異なる事実認定をされてしまう事件は多いのです。
当たり前の話なのですが、裁判で明らかになるのは、本当にあった話ではなく、証拠によって明らかになった範囲の事実でしかありません。
これに対して幻滅を覚える依頼者もいます。
自分では突き止められなかった挫折経験から、弁護士や裁判所の調査能力に過度な期待を抱いてしまうのも無理はないのかもしれません。
他の相続人の個人財産は明らかにできない
遺産分割において多いのは、相続財産がこんなに少額ではないはずであるという主張です。
つまり、特定の相続人が財産を隠したり、不正に操作したりしているはずだというものです。
遺産分割事件で相続財産の範囲が問題になり、被相続人の財産から多額の財産をもらっているのではないかという疑念を持つ依頼者からすると、対立当事者の口座の中身などの財産調査をする必要が出てきます。
被相続人の財産については、相続人として単独で開示請求をすることができますが、各相続人が他の相続人の個人財産について開示請求することはできません。
いくら兄弟とはいっても、他の人間の財布の中身まで手を突っ込んでみることはできない、という言い方をされると、なるほどと納得していただくこともありますが、納得いただけない依頼者もいます。
相続人の口座の差押えや凍結を検討
ではまったく何もできないのでしょうか。
せめて口座番号などが特定できていれば、話は別です。
被相続人の財産をネコババしているというある程度の証拠があれば、差押えなどの措置をとることができることもあります。
また銀行に対して、口座の凍結を要請するなどの方法も考えられます。
形式上は名義人の口座になっているが、実は被相続人の財産であって、相続財産であるという主張をする方法も考えられます。
相続税の税務調査の結果を活用
ところが口座の存在に関する手がかりが全くないとなると、打つ手がありません。
どうしたらよいのでしょうか。
まずは、税務調査の結果を待つことです。
税務調査で新たな相続財産が発見された場合、新たな相続財産に関する遺産分割協議書がないと相続税の修正申告ができません。
遺産を隠匿していた相続人から遺産分割協議についての打診があるはずなので、それを待って遺産分割協議をすることになります。
税務調査における口座調査は国家権力によるもので、実効性も期待できます。
ただし税務調査が行われるかどうかは未知数で、いつ実施されるか、そもそも隠し財産が見つかるかどうかは、わかりません。
もちろん何らかの隠し財産が存在していることは間違いない蓋然性が高いものの、税務署が贈与認定することなどで見逃すこともあり、必ずしも100%期待していた結果にならないことは覚悟すべきです。
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