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【正確な不動産評価は難しい】遺産分割における財産評価は時価[POSTED]:2018-11-11
遺産分割完了時の時価を基準に判断する遺産分割
遺産分割における不動産評価は、時価を基準にして判断します。
しかも遺産分割完了時の価格です。
相続税の評価時点は相続発生時で、具体的には相続発生時の年の路線価格によります。
ちなみに遺産分割には締切がありません。
何世代にもわたって遺産分割がなされず、未分割の状態で多くの相続人の共有状態になっている不動産などが散見されますが、これも違法ではないのです。
締切がなく違法でもない以上、遺産分割を完了させないことに対するペナルティもありません。
このように遺産分割に期限がなく、もめて10年以上もかかる遺産分割事件もあることから、遺産分割時の時価により評価するということになると、いつ遺産分割が成立するかにより相続人の利害が対立し、問題になることもあります。
遺産分割における不動産評価額は理論値に過ぎない
売買が実際に成立しているのであればともかく、相続人が不動産のまま取得する場合は、実際には売買が成立していないわけですから、その状態での時価といっても所詮は理論値でしかないのです。
換価分割の方法により不動産を実際に売却し、売却した金額を相続人で分け合うという分割方法であれば、遺産分割時に不動産が現実に売却されて現金になっているので簡明で、かつ相続人から文句も出にくいといえるでしょう。
ところが現物分割や代償分割で、実際には不動産を売らないにもかかわらず、今売ったらいくらになるのかを問題にする場合、売却価格について仮定の話をすることになります。
不動産売却価格は水もの
そもそも不動産の売買は、たった1つのかけがえのない不動産をめぐるものですから、売買価格もその時々の運次第でぶれることも多いのです。
近隣の参考事例を資料として用いることもありますが、これが個々の事情によってぶれることもあります。
隣接地を買い足すなどの事情があって、相場よりも高い価格で買ってしまうこともあるでしょう。
逆に相場よりも低い価格で売買がなされることもあります。
離婚や相続の場合は、どうしても売り急ぎがちなので買いたたかれてしまう傾向にあるといわれています。
不動産の売却価格というものは、水ものの要素が強いといえるでしょう。
たまたま今回は高く売れたとしても、もう一度売りに出せば、同じ環境条件であっても同じ価格で売却できるとは限りません。
科学実験のように、反復して同じ数字が出るわけでもないのです。
売却状況や条件を反映した正確な不動産評価は難しい
出たとこ勝負の要素も否定できない不動産売買ですが、ましてや実際に売却するわけでもなく理論値を出すとなると、混迷を極めます。
であれば遺産分割における評価額も、路線価価格をもとに算出すればよいということになりそうです。
路線価価格に0.8の逆数をかけたものを遺産分割における評価額である「時価」とすれば、不動産売買の状況や買主の個性などに左右されることなく、一定の評価額を算出することができますから問題も生じないようにも思えます。
しかし、実は時価が路線価価格の約8分の10であるという命題自体が、必ずしも正しいとは限らないのです。
まず、路線価価格は市場動向ほど敏感には改定されません。
路線価は年に1回公表されるものですから、その時々の経済状況や社会情勢を正確に反映しているとはいえないですし、各不動産の売却状況や条件を反映しているともいえません。
あくまでもおおよその目安という数字なのです。
特に郊外の土地については、路線価から理論的に計算される数字では売買されません。
統計値である以上、人口がある程度多い都市圏であれば妥当するかもしれませんが、人口が少ない地方都市の場合は、そこまでサンプリングの数が多いとは限らず、統計上優位なサンプル数が得られないことも多いといえます。
結局は、遺産分割における評価額を算出するために不動産業者に見積もりを依頼しているのが現状です。
そしてこの不動産業者の見積もりは、何らの法的根拠もないうえ、実際には不動産業者が自在に数字を操作して、依頼者の意向に即して計算することもあるのです。
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