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遺産分割を家族構成の視点から検討

相続人自身の家族構成や財産構成という視点から、何をどのように相続すべきなのか考えることも重要です。
まずは家族構成の視点から検討します。
相続人に配偶者や子どもがいる場合、その相続人が亡くなると、前の相続で親から受け継いだ財産は、配偶者や子どもが受け継ぐことになります。
一方、相続人が「おひとり様」である場合、つまり自分には配偶者や子どもがいない場合には、兄弟やその子ども（甥や姪）が相続人になると民法に定められています。
親の相続の際、兄弟間で骨肉の争いをした結果、自分に有利な遺産分割協議を成立させることに成功し、多額の財産を取得することになったとしても、その相続人自身に配偶者や子どもという意味での家族がいない場合には、遺言を書かない限り、争った兄弟かその子どもである甥や姪が結局は財産を取得することになるのです。

遺産分割が長引くことのデメリット

遺産分割においては、誰もが少しでも多く、少しでも自分に有利に財産を取得しようとするでしょう。
相続人全員がこのように考えると、遺産分割協議は紛糾し、今後の兄弟の関係性にも影響を及ぼすことになります。
これまで兄弟の配偶者も含めて仲良く親族付合いをしてきたとしても、親の相続をきっかけに没交渉の関係になることも少なくありません。
また、遺産分割協議が長引けば、相続財産に含まれる不動産や株式を売却して換金する機会も先送りされることになります。
不動産や株式の価額は社会情勢や経済情勢に影響を受けますから、売り時を逃すと大きく損をしてしまう可能性があります。
遺産分割協議を始めた頃には高値で取引されていた不動産も、誰がどの財産を取得するか、財産の評価をどうするかなどについて兄弟でモメて、遺産分割協議が年単位で長引いた結果、当初よりも低い価格で売却せざるを得ないこともあります。
自分が死亡した場合に、最終的に兄弟側の人間が相続することになる可能性が高い財産について、どの程度まで時間と労力をかけて争うべきかについても検討したほうがよいでしょう。

遺産分割を資産構成の視点から検討

相続人自身の資産構成によっても、何を相続すべきかが変わってきます。
例えば、生活資金が不足している場合や、子どもの教育資金など直近で多額の支出が予想される場合には、現金や預貯金などの流動性が高く換金しやすい財産を相続すべきでしょう。
逆に、当座の生活資金については問題なく、多額の支出も予定していない場合には、すぐに換金することができなくても運用益を見込める賃貸用マンションなどの財産を相続するのが有利といえます。

相続することで将来どうなるかという視点

誰もが少しでも多く、少しでも有利に相続したいと考えるでしょう。
「多く」「有利」の判断基準として、金額や客観的価値の大小のみを考慮するのでは不完全です。
自分を取り巻く家庭環境や資産状況をも考慮して、今何を相続すべきなのか、この財産を相続すると将来どうなるのかについてまで踏み込んで検討すべきです。

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• 2018-12-31
• [CATEGORY]： 遺産分割編
• [TAG]：弁護士兼税理士によるワンストップ相続実例,遺産分割,遺産分割協議,株式,不動産
• [AUTHOR]：遺産相続の弁護士･税理士 永田町法律税務事務所