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【相続専門は税理士より弁護士のほうが見つけにくい?相続専門弁護士<相続専門税理士】遺産分割事件数÷弁護士数と相続税申告件数÷税理士数[POSTED]:2018-08-26
税理士1人あたりの相続税申告件数
相続税申告業務は税理士にとって特殊な業務であるといわれる。
自社株式評価や不動産評価、各種特例の計算方法が複雑であることなどもあるが、ほかにも理由がある。
相続税の年間申告件数と税理士数の相関関係である。
前者を後者で割った数が1以下であったことから、平均的な税理士は相続税申告を年間に1件も扱わない、と言われていた。
ほとんどの税理士は相続税申告に不慣れで、経験を蓄積した相続専門税理士のみがよく相続税申告をなし得ると。
この統計の妥当性は評価が難しい。
相続税の年間申告件数を、税理士の数で割ることが妥当なのであろうか。
税理士数ではなく税理士事務所で割るほうが実態に近いのではないか。
活動実態のない登録税理士を除いた実働税理士数で割るべきではないか。
相続専門を謳う一部の税理士法人が集中的に相続税申告案件を受注する実態や、税理士とほぼ同様の活動実態を持つ多数のスタッフの存在もカウントすると、税理士業界の相続税申告案件はさらに偏在している、とも考えられる。
相続税改正と相続税申告件数増加で変わった税理士における相続の専門性
機械的に単純計算すると、平成28年中に亡くなった被相続人数約131万人のうち、相続税の課税対象となった被相続人数は約10万6千人(課税割合は8.1%)。
平成30年2月末時点で税理士数は全国で77,174人。
相続税の申告件数を税理士の数で割ると約1.375なので、税理士1人当たりの相続税申告件数は約1.4件になる。
相続税納税義務者を激増させた平成25年度相続税法改正を受け、平成27年分相続税申告件数は倍増し、平成28年分も微増した。
平均的な税理士は相続税申告を年間に1件も扱わない、とはもはや言えなくなった。
弁護士数と相続件数・遺産分割事件数の統計
弁護士はどうか。
平成28年度の遺産分割事件数は12,188件(司法統計)で、弁護士数は2017年で38,980人。
弁護士1人当たりの遺産分割事件数は約0.312。
税理士1人当たりの相続税申告件数の約5分の1強である。
相続事件の偏在ぶりは、税理士よりも弁護士のほうが顕著である。
司法統計に現れない遺産分割事件数もあるだろうが、相続税申告以外で関与する税理士の相続事件もある。
弁護士と税理士それぞれの中心業務で比べると、相続事件に関与する専門家の割合は、弁護士の方が圧倒的に小さい。
相続専門弁護士<相続専門税理士
相続税申告業務の偏在ぶりは、相続税専門を謳う税理士事務所が自らの専門性を喧伝するロジックとして使われていた。
平均的な税理士の相続税申告件数を云々する広告文は、昨年から聞かなくなった。
平均的な弁護士が3人集まっても相続事件を扱う者が1人もいない、という弁護士の広告は不思議と見たことがないが、統計上の事実である。
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