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【遺言無効確認だけではない遺言の争い方】遺言「有効」確認訴訟[POSTED]:2018-03-23
遺言無効確認訴訟ならぬ遺言有効確認訴訟
「遺言無効確認訴訟」の間違いではない。
まぎれもなく「遺言有効確認訴訟」のことである。
遺言が有効であることを確認する訴訟で、ものの本にはそういう訴訟類型が存在することが書かれている。
実務的には珍しい訴訟類型で、遺言無効確認訴訟が提起されるのが通常である。
遺言有効確認訴訟を提起する事情
弊所では過去に複数回、遺言有効確認訴訟を提起した。
①遺言が複数あり、前の遺言に基づいて執行がすでになされているケースで、前の遺言と矛盾する内容の後の遺言が有効であると確認する訴訟
②遺留分を求める調停が不調に終わり、調停の中で相手の弁護士が遺言無効を主張したにもかかわらず長期にわたり遺言無効確認訴訟を提起せず、遺言執行にあたり遺言無効の可能性を理由に金融機関が遺言執行に対応しなかったケースで、遺言が有効であると確認する訴訟
など、遺言有効確認訴訟をあえて提起する理由がそれぞれにあった。
遺言無効確認訴訟の方が自然?
裁判官は毎回、難色を示す。
「明確にダメであるというわけではないが、(遺言無効確認訴訟ではなく)遺言有効確認訴訟をあえて起こす必要性を主張してもらう必要が・・・」
と言ってきた裁判官もいたが
「経験したことがないから取り下げてもらえないか」
と気持ちよいほどストレートに本音を打ち明ける裁判官もいた。
最終的には必要性を主張したうえで訴訟係属させ、被告は裁判官に促され反訴又は別訴で遺言無効確認訴訟を提起するに至った。
やはり遺言無効確認訴訟が提起されていないと、裁判官としてはバツが悪い。
遺言無効確認訴訟と遺言有効確認訴訟はコインの裏表の関係
それでも遺言有効確認訴訟は係属し続けた。
件の書籍には「遺言無効確認訴訟を提起することが通常で、遺言無効確認訴訟の項に説明を譲る」旨の説明があっさりと書かれている。
実務的にまれな訴訟ではあるが、提起せざるを得ないこともある。
前記①は積みあがった既成事実を遺言有効確認訴訟の提起によって覆す必要があり、前の遺言の無効確認では後の遺言内容を実現できない。
前記②は遺言の有効性が確認できないと執行できないうえ、時効がない遺言無効確認訴訟の提起を待つことは現実的ではない(相手方の弁護士に督促をしているにもかかわらず、一向に提起されなかった)。
特に前記②においては遺言無効確認訴訟の反訴がなされたものの、相手方の従来の訴訟遂行態度からして、反訴が急に取り下げられることも大いにあり得る。
反訴は結審まで本訴原告の同意なく取り下げが可能であり、反訴の既判力を得る(遺言が無効ではないことを確認する)ためには反訴の結審まで、本訴を取り下げないでおく必要がある。
遺言無効確認訴訟だけではない
かなり専門的な内容ではある。
弁護士として相続裁判を経験するなかで、めったにやらないことをやることもある、というお話である。
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