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配偶者居住権と注意点[POSTED]:2021-04-15
平成30年7月、約40年振りに「相続法」が大きく改正されました。
相続法改正の中でも、よく耳にするのが「配偶者居住権」という新しい権利。
配偶者居住権という言葉は知っているが、内容については知らない方のために、配偶者居住権の内容と配偶者居住権についての注意点についてわかりやすく解説していきます。
1、配偶者居住権とは
配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者に建物の使用を認めることを内容とする法定の権利のことを「配偶者居住権」といいます。
サザエさんでいうと、波平が亡くなった後もフネが波平所有の建物に住み続けることができる権利のことですね。
この配偶者居住権に関する相続法改正は、令和2年4月1日に施行されました。
施行されて1年しか経っていない権利ですが、配偶者居住権の内容を聞くと、こんな便利な権利なのであれば今までこの権利がなかったことを不思議に感じるくらいですね。
2、改正前と改正後の違い
次に、「配偶者居住権」についてよりよく理解してもらうために、配偶者居住権が創設される前と後の比較をして、この制度を解説していきます。
創設前
上のイラストでは、配偶者が居住建物を取得する場合、他の財産については預貯金500万円しか受け取れなくなってしまいます。
つまり、相続人が妻と子、遺産が自宅(2,000万円)と預貯金(3,000万円)の場合
妻と子の相続分=1:1(妻2,500万円:子2,500万円)ですから、妻は自宅(2,000万円)のほかに預貯金は500万円しか受け取れません。
こうすると、相続人である妻は、住む場所はあるが生活費が将来的に不足する可能性があります。
この悩みを解決するための1つの選択肢となるのが「配偶者居住権」です。
創設後
「配偶者居住権」の創設により、配偶者は自宅での居住を継続しながらその他の財産も取得できるようになりました。
つまり、改正前の例で挙げた相続の場合、
配偶者は住む場所も確保し、生活費も相続しているので、安心して生活ができますね。
妻の預貯金が増えたこと以外に、改正前のケースと変わった点は、子に負担付所有権が相続されていることです。
負担付所有権とは、配偶者居住権がついた不動産の所有権のことです。
不動産の所有権を持っていても、配偶者居住権を持っている者が住み続けている限り、売却等ができません。
厳密にいうと、売却自体は可能ですが、配偶者居住権がついている不動産を買う人はいないので、売却が事実上できません。
しかし、万が一買い手が見つかり売却されてしまった場合、配偶者居住権を持つ妻は住み続けることができるのでしょうか。
配偶者居住権を相続した以上は、対策をしておけば大丈夫です。
具体的には配偶者居住権の登記をします。登記をしておくことで、所有者が変わったとしても、住み続けることができます。
逆にいえば、登記をしていなければ、売却された場合に配偶者居住権を持つ妻は、子から自宅を購入した買主に対して居住権を主張することができません。
どんなに家族仲が良くても、配偶者居住権を持っていても、安心して住み続けるために、登記をすることをお忘れなく。
- 2021-04-15
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