【いったん口にした遺産分割の合意は有効か?】遺産分割協議の合意内容を撤回

【いったん口にした遺産分割の合意は有効か?】遺産分割協議の合意内容を撤回

[投稿日]: [投稿者]:
[サブカテゴリ]:

【いったん口にした遺産分割の合意は有効か?】遺産分割協議の合意内容を撤回

相談者からの相談内容

父が亡くなり、姉と遺産分割協議を続けていました。 母はすでに亡くなっています。 亡父が姉弟仲良くと言っていたので、その意向に従い相続分に差が生じないように遺産分割をする意向で話し合ってきました。 特に母の相続の時に、私が姉に譲歩したので、その代わりに父の相続の時には私が実家不動産を相続することになっていました。 遺産分割協議が半年以上も続いて、いよいよすべての相続財産の相続について合意ができたので、遺産分割協議書を作成することになっていました。 ところが突然、姉が弁護士を付けてきました。 遺言を発見したので、遺言に従って相続する旨の通知書を送りつけてきました。 遺言の内容はほとんどすべての相続財産を姉が相続するものです。 遺言が存在していたなど、全く聞いていませんし、なぜこのタイミングで遺言が出てきたのかが不可思議です。 遺言は自筆証書遺言のようですが、筆跡などは確かに亡父のもので間違いなさそうです。 口頭とはいえ、遺産分割協議はまとまっていたのですが、いまさら姉が遺産分割協議を撤回することはできるのでしょうか。 母の相続の際にしていた合意、つまり父の相続の時には私が実家を相続するという約束も反故にされてしまうのでしょうか。
弁護士からの
一言アドバイス
「学ぶ」コーナーでまずは勉強 頃合を見計らって弁護士に依頼 状況によって弁護士に依頼 至急弁護士に依頼することが望ましい 今すぐ弁護士に依頼することが望ましい
今すぐ弁護士度
簡単に解決できる見込み やや簡単に解決できる見込み 解決できる見込みあり 解決するのがやや難しい 解決するのが難しい
解決難易度

遺産分割協議書は相続財産の一部でも作成可能

遺言が見つかったら遺産分割協議に優先する

まず遺言が見つかったということですが、遺言がある場合は遺言が遺産分割協議に優先します。
遺産分割協議が成立したのちに遺言が見つかった場合、遺産分割は遺言によって覆されることになり、遺言による遺産分割のやり直しになります。
このケースでは遺言が見つかっていて、特に遺言の有効性に疑義があるとまでは言えなさそうです。
遺言が無効であるということであれば、遺言無効確認訴訟を提起することになりますが、ご相談者は遺言が無効であるとまでは考えていないようです。

遺言がなくても遺産分割協議が合意に至ったのかは疑問

仮に遺言がなかったらどうなったのでしょうか。
遺産分割協議は半年以上も続けられており、遺産分割協議は成立直前であった。
口頭による遺産分割協議は成立していたともいえそうです。
遺産分割協議は合意内容を遺産分割協議書にまとめるのが通常です。
しかし遺産分割協議書の作成は必須ではなく、遺産分割協議書を作成していなくても、遺産分割協議の内容が口頭で合意がとれていれば遺産分割協議は成立しているともいえます。
実務上、不動産登記をしたり金融機関から預金を引き出すのに、遺産分割協議書が求められることはあっても(金融機関から預金を引き出す場合には遺産分割協議書がなくても所定の書面に相続人が署名すれば通用しますが。)、法律上は遺産分割協議は口頭で成立します。
ただし争いが起きている場合に、遺産分割協議の成立については、事実上、遺産分割協議書の作成が必要です。
遺産分割協議の合意内容が形になっていなければ、遺産分割協議の成立の証拠がないからです。
遺産分割協議書が作成されていない場合、たとえ真実は遺産分割協議が成立していたとしても、遺産分割協議が合意に達するまでの交渉過程である旨の主張が出てくるでしょう。
通常の契約成立も同じなのですが、目に見えない合意を書面で形に残していない限り、合意に至る過程であると主張されてしまうリスクがあります。
そして遺産分割協議書がなければ、裁判で遺産分割協議の成立を主張することは難しいでしょう。

中間合意でもよいので遺産分割協議の合意内容は書面にする

遺産分割協議はなかなか成立したことを証明しにくい。
99%合意に達していても、残り1%で駄々をこねられた場合、すべてをひっくり返されてしまう。
確かにそのような実態はあります。
だからこそ遺産分割調停のように裁判所の力を借りる必要が出てくるのです。
ただし遺産分割協議を少しでも裁判外で成立させる方法はあります。
相続財産すべてについて遺産分割協議の合意に達することは難しくても、個別に遺産分割協議を成立させていくことはできることもあるでしょう。
個別の相続財産についての遺産分割協議が成立したときに都度、遺産分割協議書を作成することは可能です。
その余の相続財産は別に遺産分割協議をする旨を定めておけば、遺産分割協議が途中で頓挫しても、合意して遺産分割協議書を作成した相続財産については遺産分割が住んでいることになります。
すべての相続財産について遺産分割協議が合意に達したら、別途、すべての相続財産について遺産分割協議書を作成することでも構いません。

母の相続時の約束は

よくあるのが2次相続の遺産分割協議において、1次相続のときの合意や生前の被相続人の発言などをもとに、特定の相続財産を特定の相続人が相続するということになっていた旨の主張です。
結論から言うと、このような条件や約束事は、相続においては通用しません。
自分の相続財産以外について、勝手に処分を決めることはできません。
父親の財産を子供が勝手にどのように処分するかを決めることはできません。
そして1次相続において条件付きの遺産分割協議をすることもできません。
もしそうしたいのであれば、2次相続前に遺言を書いてもらうことです。
ただし遺言は書き換えることができます。
確実に特定の相続財産を相続したいのであれば、生前贈与を受けるか、今のうちに自分のものにする法律行為をしなければなりません。

ここがポイント!

遺言は遺産分割協議に優先

遺言があれば遺産分割協議はやり直し。遺産分割協議は書面なければ合意なし。

[投稿日]: [投稿者]:永田町法律税務事務所

この記事が参考になった方はクリック!

同じカテゴリーの相続相談事例 [カテゴリー:遺産分割編]

2019-08-20[カテゴリー]:
父を代襲して相続したが、叔父を相手にした遺産分割調停が膠着状態に。
先日、祖母が亡くなりました。 相続人は叔父と父なのですが、父がだいぶ前に亡くなっているので、父を代襲して私たち姉妹が叔父と遺産分割について話し合いを始めました。 叔父とは昔からそりが合わず、顔を合わせてもあまり話すことが無かったのですが、今回の相続をきっかけにますます…[サブカテゴリー]:
K家の事例:家系図参考になった!3
2019-08-20[カテゴリー]:
非相続人への生前贈与書面【遺産分割に与える影響】
相続が発生して遺言がないことが確認されました。 遺言遺産分割協議の途中で、相続人ではない親族への贈与が問題になっています。 贈与があったと主張している被相続人の孫がいます。 ただし贈与契約書もなく、本当に贈与契約があったのかが疑問です。 本当に贈与があったとしても、書面によらない…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
遺産分割調停中の法事
遺産分割調停の最中なのですが、遺産分割の本題以外の部分で問題が生じています。 父が亡くなり、後妻を相手に、前妻の子である私が遺産分割調停を申し立てています。 もともと遺産分割調停を申し立てる前から問題が多く、葬儀の時も家に立ち入らせてもらえなかったのです。 離婚したとはいえ、父は…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
【非協力的な共同相続人】遺産分割協議後に遺産分割協議の実現に協力してもらえない
長くかかった遺産分割協議が終わりました。 ここまで来るのにやっとだったのですが、兄が遺産分割協議を実現するのに必要な手続きに協力してもらえません。 相続税もこれから協力して修正申告をしなければならないのに、コミュニケーションができない状態です。 金融機関での手続きに必要な書類を用…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
あったはずの骨とう品(相続財産)が隠匿され、財産開示がなされない。
母の相続に関して、相続人である姉ともめています。 私は父の代から続くオーナー企業の社長を務めており、80歳を過ぎた今でも現役を貫いています。 姉の自宅は私の家の隣にあるのですが、母はそこで姉夫婦と同居しており、最終的には病院で息を引き取りました。 母が亡くなって…[サブカテゴリー]:
A家の事例:家系図参考になった!3

参考にしたい相続関連記事

2018-10-22
【遺産分割の前と後、いつ不動産を売却すべきか】不動産を相続する際のポイント
相続税を払うために不動産を売却した場合でも、譲渡所得税の対象に 親と同居していた長男が実家不動産を相続するものの、相続財産は1億円相当の実家不動産と現金1,000万円のみで、もう一人の相続…
2019-03-15
【契約書の作成がポイント】相続税対策としての贈与契約が成立するためには
贈与したつもりでも相続税申告時には相続財産とされることも 父親が結婚資金のためにと、娘に内緒で銀行に口座を作り、十年もの間、毎年110万円ずつ贈与をしていた場合はどのような取り扱いがなされ…
2017-10-24
誰が相続するの?法定相続人とは
1 法律で決められている相続人(法定相続人)誰が相続するの?法定相続人とは 相続人が誰になるか、その相続人の中で誰がどの程度の優先権があるかについては、民法で規…
2014-03-19
相続で泣きたくなければ不動産のしくみを知りなさい!
相続関連書籍『相続で泣きたくなければ不動産のしくみを知りなさい!』の内容紹介 「相続なんて、お金持ちじゃない自分には関係ない」と思っていませんか? しかし、法改正により、平成27年1月1日…
2019-11-16
「兄弟平等」は命取り【グッチ】
事業承継においては、兄弟平等が命取りに グッチオ氏は、親心からか兄弟平等に株を譲渡。これが悲劇の始まりだった。兄弟であっても、家を出て家庭を持てば他人意識が強くなる。孫に代替わりすれば、な…
2019-01-18
【なぜ弁護士と税理士のアドバイスは異なるのか】相談における弁護士と税理士の意見の…
遺産分割における遺留分に対するアドバイスの違い 弁護士と税理士が同時に、法律相談を受けました。遺言を作成する相談内容なのですが、事業の後継者に対して多めに相続させる内容にしたいとのことです…
ページトップへ

カテゴリ別 相続相談一覧これまで弁護士に寄せられたカテゴリ別相続問題

遺 言
遺言無効を争う
遺留分を争う
  • 遺言無効
    確認訴訟
  • 遺留分
    減殺請求
  • 遺言執行者
    解任
だましうちで遺言を書かせる。財産の不正操作の常とう手段です。遺言無効確認の訴えや、遺留分減殺請求などにより、財産の不正操作と戦います。
遺産分割
財産の不正操作に
要注意!
  • 預金の
    無断引出
  • 名義の
    無断書換
預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を勝手に書き換える。財産の不正操作と徹底的に戦う覚悟がある方のお力になります。
不動産相続
評価や分け方で
モメる不動産相続
  • 評 価
    トラブル
  • 分 割
    トラブル
  • 不動産の
    不正操作
分けられない財産の典型である不動産。不動産の評価について相続人間でモメます。そもそも不動産が相続財産かどうかも問題になります。不動産を独り占めする財産の不正操作と最後まで戦います。
事業承継
同族会社の
内部紛争に勝つ!
  • 取締役の
    不正追及
  • 株主総会
    の形骸化
同族会社の内部紛争や支配権争いでお悩みの方のお手伝いをします。事業を営む方の相続問題は通常の相続以上に複雑です。会社の支配権を勝ちとり、事業を守り抜きます。
国際相続
国外財産があると
どうなるの?
  • 海外財産
  • 海外在住
  • 国際結婚
相続財産が海外にある場合、手続きが複雑になります。国内財産の分け方も絡む紛争を総合的に解決します。
相続税
節税対策の
ポイントを知りたい
  • 税務調査
  • 税務訴訟
  • 相続税の
    還付
生前にどれだけ詳細にシミュレーションすることができたかで、相続税対策は決まります。遺言内容にも影響しますので、多方面からの検討をする意味でも弁護士兼税理士にお任せ下さい。