弁護士を入れたらもめる?【吉本の宮迫・亮事件に学ぶ弁護士依頼のタイミング】

弁護士を入れたらもめる?【吉本の宮迫・亮事件に学ぶ弁護士依頼のタイミング】

[投稿日]: [投稿者]:
[サブカテゴリ]:

弁護士を入れたらもめる?【吉本の宮迫・亮事件に学ぶ弁護士依頼のタイミング】

相談者からの相談内容

遺産分割協議でもめています。 家族同士の紛争ですが、遺産分割協議の話し合いは四十九日を過ぎたときから継続して1年以上、続いています。 家族同士なので相続に関する法律知識で理論武装しても、理屈が通じません。 例えば兄の自宅不動産は亡父がお金を出していたのですが、その事実を認めながらも、相続において特別受益の精算をしようとはしません。 先に亡くなった母が生前に実家の不動産を兄に渡すと言っていたと言い張り、自分に法的な権利があるかのように言っています。 先日も家族で話し合っていた際に、出ていけと怒鳴り散らし始めました。 その時に姉は突き飛ばされて、肩にけがをしています。 最終的には警察が出動するに至りました。 もう当事者同士で遺産分割協議を進めることは到底無理で、弁護士に相談して遺産分割調停を申し立てることを考えています。 ただ家族同士のもめ事を弁護士にゆだねることで、この後に家族が話ができなくなってしまうことが心配です。 遺産分割や相続問題を弁護士に相談してよいのか、弁護士に相談すべきなのか。 迷っています。
弁護士からの
一言アドバイス
「学ぶ」コーナーでまずは勉強 頃合を見計らって弁護士に依頼 状況によって弁護士に依頼 至急弁護士に依頼することが望ましい 今すぐ弁護士に依頼することが望ましい
今すぐ弁護士度
簡単に解決できる見込み やや簡単に解決できる見込み 解決できる見込みあり 解決するのがやや難しい 解決するのが難しい
解決難易度

弁護士に委任後は確実に関係が変わる

弁護士に相続問題や遺産分割を依頼することを逡巡する気持ちはわかります。
弁護士に相続問題や遺産分割を相談することはよいのでしょうが、弁護士に委任することについては、慎重に判断すべきであるという意見には賛成です。
ちょうど数日前、吉本新喜劇での宮迫博之さんと田村亮さんが、いわゆる闇営業問題で記者会見をしました。
亮さんによると、宮迫さんと亮さんが弁護士を立てたことに対して、吉本の弁護士が会社の意見として弁護士を立てたことは残念である旨のメッセージを送っていたとのことです。
弁護士を立てている吉本側が、対立当事者が弁護士を立てたことを遺憾であるとすることは、いささか奇妙なロジックではありますが、それが日本的な感覚なのでしょう。
弁護士が入って裁判沙汰になることは、非日常性の極みです。
弁護士が増えたとは言われていますが、まだまだ日本での弁護士は特殊な存在のようです。
亮さんによると、吉本は芸人との関係をファミリーとしていたとのこと。
ファミリーマターに弁護士が介入するのは、ちょうど相続問題や遺産分割において、弁護士に依頼することと状況を同じくします。
その後岡本社長が会見をして宮迫さんと亮さんとの契約解消を撤回したものの、宮迫さんと亮さんが吉本に復帰するかどうかはわかりません。
一度壊れた関係は、もう戻らない。
相続問題や遺産分割で弁護士を入れると考えた場合も、慎重に考えたほうが良いのです。
しかしこう考えることもできます。
逆に言えば、弁護士をいれなければいけないほど、関係値は壊れていた。
もはや他人が介入することなくして、相続問題は解決しない。
もしも今後、付き合う必要のない相手であれば、弁護士に依頼することを躊躇する必要はありません。
異母兄弟や代襲相続人、後妻と前妻の子など、もともと遠い関係の相続人なら躊躇する必要はないでしょう。
もともと最初から、弁護士なしではコミュニケーションが取れそうもありませんので、さっさと遺産分割調停を申し立てるべきです。
兄弟など近親者であれば、今後も関わりを持たなくてもよいのかを考えてみましょう。
長く続いた相続紛争で関係が変わってしまい、今後は没交渉であるということであれば、弁護士に相続問題や遺産分割を依頼しても問題はないかもしれません。
重要なのは一度、弁護士を入れると今までとの関係とは確実に変わってしまいます。
宮迫さんや亮さんは弁護士に依頼したことを後悔してはいないのでしょうが、吉本の復帰についてはそうそう二つ返事で応諾できないのかもしれません。
弁護士に依頼するということは、気持ちの上で変化が生じるタイミングで、後戻りはできないということなのです。
特に相続や遺産分割は家族間の争いなのでなおさらです。

ここがポイント!

近親者同士の相続遺産分割か、異母兄弟や後妻と前妻の子など遠い関係の相続遺産分割か。

二度と付き合う必要のない相続人との遺産分割であればむしろ弁護士に依頼すべき。

[投稿日]: [投稿者]:永田町法律税務事務所

この記事が参考になった方はクリック!

同じカテゴリーの相続相談事例 [カテゴリー:遺産分割編]

2019-08-20[カテゴリー]:
一方的に突き付けられた遺産分割協議書。出戻りには権利なし?
実家の相続のことで相談です。 田舎から出てきて30年が経ちますが、父に続いて母が亡くなりました。 相続人は兄と私の2人ですが、兄が実家に立ち入らせてくれず、一方的に遺産分割協議書を作成して署名を要求してきました。 内容は私の取り分がごくわずかで、家屋敷や大部分の…[サブカテゴリー]:
O家の事例:家系図参考になった!9
2019-08-20[カテゴリー]:
【いったん口にした遺産分割の合意は有効か?】遺産分割協議の合意内容を撤回
父が亡くなり、姉と遺産分割協議を続けていました。 母はすでに亡くなっています。 亡父が姉弟仲良くと言っていたので、その意向に従い相続分に差が生じないように遺産分割をする意向で話し合ってきました。 特に母の相続の時に、私が姉に譲歩したので、その代わりに父の相続の時には私が実家不動産…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
【遺産分割の問題?】葬式費用は誰が持つの?
父の葬儀にかかった費用でもめています。 全部で200万円かかっているのですが、だれが負担するかでもめています。 兄が葬儀社に対して支払いをしたのですが、立替払いをしたとして母に対して支払いを求めています。 母には手持ち現金がなく、相続財産も現金があまりありません。 お金を持ってい…[サブカテゴリー]:
2019-08-19[カテゴリー]:
想定外の相続人の登場に戸惑い、連絡すら取りづらい。
先日、父が亡くなりました。 銀行口座からお金を引き出そうと、要求された戸籍を取り寄せて提出したところ、家族のほかに相続人がいることがわかりました。 父は何と、養子をとっていたのです。 父の先妻の実子と養子縁組をしていたようですが、先妻と離婚後も養子の存在について…[サブカテゴリー]:
H家の事例:家系図参考になった!4
2019-08-20[カテゴリー]:
亡き母の土地を無償で借りてきた妹が、土地の評価をめぐって図々しい主張をしている。
母の相続について相談したいです。 妹夫婦は母の土地に家を建て、30年間母とその家で同居してきました。 家は妹と義弟の共有名義になっていると聞いています。 妹夫婦は母に地代を支払っておらず、母も妹夫婦に家賃を支払っていなかったそうです。 昨年母が亡くなりました。 相続…[サブカテゴリー]:
N家の事例:家系図参考になった!5

参考にしたい相続関連記事

2019-03-25
【贈与者ごとに課税方法を選択することも】贈与税の課税方法には2つある
贈与税の課税方法 「相続時精算課税制度」は若い世代への資産移転を促すことを目的に平成15年に創設された比較的新しい制度です。贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の二つがあり…
2018-07-27
【夫婦で1通の遺言を作成することはできるか】遺言作成時の注意点
遺言を作成する際に気を付けたいのは2人で1通の遺言を書いたらアウトという点です。2人の作成者が1通の遺言を共同して作成すると、その遺言は無効になってしまいます。夫婦が遺言を残す場合にやってし…
2019-08-19
相続人がいない場合 -遺産分割の問題
相続人がいない場合遺産分割の問題 相続人が存在しないといわれる状況には、戸籍を調査した上で相続人が存在しない場合と、戸籍上は相続人が存在するが相続の放棄、相続欠格、相続廃…
2019-06-09
【専門家による測量や現地調査が必要】公による規制を生かして相続税を節税
不動産評価のために必要な測量や現地調査 土地の評価を下げる減算ポイントはいろいろあります。図面を見ただけではわからないこともありますので、実際に測量したり、現地調査をしたりすることも大事で…
2019-06-27
【弁護士も知らない?代償分割で遺産分割手続を効率化】遺産分割協議書の書き方で紛争…
遺産分割協議後の紛争 遺産分割協議が終わっても、紛争が蒸し返されることがある。特に相続財産が複雑な場合は、相続手続きにひと手間がかかり、金融機関が要求する書類をそろえる必要がある。証券会社…
2019-10-19
アーティストまで巻き込んだクーデター【エイベックス】
利益相反取引を理由とした辞任勧告 1988年創業の大手音楽会社であるエイベックス。創業当初は松浦勝人氏らにより設立された輸入レコードの卸会社であったが、1990年に自社レーベル「 a v …
ページトップへ

カテゴリ別 相続相談一覧これまで弁護士に寄せられたカテゴリ別相続問題

遺 言
遺言無効を争う
遺留分を争う
  • 遺言無効
    確認訴訟
  • 遺留分
    減殺請求
  • 遺言執行者
    解任
だましうちで遺言を書かせる。財産の不正操作の常とう手段です。遺言無効確認の訴えや、遺留分減殺請求などにより、財産の不正操作と戦います。
遺産分割
財産の不正操作に
要注意!
  • 預金の
    無断引出
  • 名義の
    無断書換
預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を勝手に書き換える。財産の不正操作と徹底的に戦う覚悟がある方のお力になります。
不動産相続
評価や分け方で
モメる不動産相続
  • 評 価
    トラブル
  • 分 割
    トラブル
  • 不動産の
    不正操作
分けられない財産の典型である不動産。不動産の評価について相続人間でモメます。そもそも不動産が相続財産かどうかも問題になります。不動産を独り占めする財産の不正操作と最後まで戦います。
事業承継
同族会社の
内部紛争に勝つ!
  • 取締役の
    不正追及
  • 株主総会
    の形骸化
同族会社の内部紛争や支配権争いでお悩みの方のお手伝いをします。事業を営む方の相続問題は通常の相続以上に複雑です。会社の支配権を勝ちとり、事業を守り抜きます。
国際相続
国外財産があると
どうなるの?
  • 海外財産
  • 海外在住
  • 国際結婚
相続財産が海外にある場合、手続きが複雑になります。国内財産の分け方も絡む紛争を総合的に解決します。
相続税
節税対策の
ポイントを知りたい
  • 税務調査
  • 税務訴訟
  • 相続税の
    還付
生前にどれだけ詳細にシミュレーションすることができたかで、相続税対策は決まります。遺言内容にも影響しますので、多方面からの検討をする意味でも弁護士兼税理士にお任せ下さい。