非相続人への生前贈与書面【遺産分割に与える影響】

非相続人への生前贈与書面【遺産分割に与える影響】

[投稿日]: [投稿者]:
[サブカテゴリ]:

非相続人への生前贈与書面【遺産分割に与える影響】

相談者からの相談内容

相続が発生して遺言がないことが確認されました。 遺言遺産分割協議の途中で、相続人ではない親族への贈与が問題になっています。 贈与があったと主張している被相続人の孫がいます。 ただし贈与契約書もなく、本当に贈与契約があったのかが疑問です。 本当に贈与があったとしても、書面によらない贈与は取り消しができるとも聞きました。 相続人も書面によらない贈与として取り消すことができないのでしょうか。
弁護士からの
一言アドバイス
「学ぶ」コーナーでまずは勉強 頃合を見計らって弁護士に依頼 状況によって弁護士に依頼 至急弁護士に依頼することが望ましい 今すぐ弁護士に依頼することが望ましい
今すぐ弁護士度
簡単に解決できる見込み やや簡単に解決できる見込み 解決できる見込みあり 解決するのがやや難しい 解決するのが難しい
解決難易度

書面による贈与の書面の範囲は広い

贈与を受けたと主張している受贈者が被相続人の孫ということですから相続人間で問題になる、特別受益の問題にはストレートになりません。
相続人に対する生前贈与と構成できる場合は別として、特別受益を主張するのは難しいでしょう。
逆にいえば、相続人に対する贈与であれば、特別受益の問題として解決ができるので、贈与があったとしてもほかの相続人の相続分に実質的な影響はありません。
このケースでは被相続人の孫に対する贈与なので、生前贈与が認められると、相続人が持ち戻しをすることができなくなるだけに、生前贈与が成立しているのかどうかについては、大きなポイントになります。
生前贈与があったかどうかですが、書面がなくても、契約書がなくても口頭で贈与契約は成立することができます。
ただし書面によらない贈与は取り消すことができます。
子の書面によるかどうかですが、通常は契約書があることを書面による贈与としていますが、書面にあたるものの範囲は広く、贈与意思が何らかの形で表れていればよいとされます。
例えば贈与を原因とする移転登記の書類が作成された場合でも、書面による贈与があったとされることがあります。
贈与税の申告書に贈与者として関与していて、それが書面になっているのであれば、書面による贈与といえるでしょう。
書面による贈与にあたる可能性があるのか、作成された関係書類が存在するのかを確認する必要があります。

ここがポイント!

贈与意思が何らかの形で表明されたいればよい

書面による贈与の書面は契約書に限らない。

[投稿日]: [投稿者]:永田町法律税務事務所

この記事が参考になった方はクリック!

同じカテゴリーの相続相談事例 [カテゴリー:遺産分割編]

2019-08-20[カテゴリー]:
亡き母の土地を無償で借りてきた妹が、土地の評価をめぐって図々しい主張をしている。
母の相続について相談したいです。 妹夫婦は母の土地に家を建て、30年間母とその家で同居してきました。 家は妹と義弟の共有名義になっていると聞いています。 妹夫婦は母に地代を支払っておらず、母も妹夫婦に家賃を支払っていなかったそうです。 昨年母が亡くなりました。 相続…[サブカテゴリー]:
N家の事例:家系図参考になった!5
2019-08-20[カテゴリー]:
姉と同居していた母の貯金額が、働いていなかったのに不自然に多い。姉の夫は税理士な…
母の相続についてトラブルを抱えています。 13年前に父が亡くなりましたので、相続人は姉と私の2人です。 父の相続の際、開示されているもの以外に父名義の現預金はないと母から聞きました。 母の死後、遺産の整理をしていると、母名義の預金が5000万円あることがわかりま…[サブカテゴリー]:
S家の事例:家系図参考になった!7
2019-08-20[カテゴリー]:
相続人間での意見や感情の対立が激しく、調停での話し合いが難航し、まとまりそうにな…
父の相続に関してトラブルを抱えています。 一昨年末に父が他界し、相続人は母、兄、私の3人です。 相続財産は、港区の実家不動産と預貯金約1億円です。 実家の土地は200坪ほどあるのですが、家は築50年を超えており、かなり老朽化しています。 業者に見積もりを出…[サブカテゴリー]:
I家の事例:家系図参考になった!10
2019-08-20[カテゴリー]:
亡母と同居していた弟が受けていた生活援助と預金の使い込みについて追及したい。
94歳の母が亡くなりました。父はすでに亡くなっており、相続人は私と弟の2人です。 独身の弟はずっと実家暮らしで、公務員をしています。 千代田区にある母名義の土地に、弟名義で家を建てて母と弟が同居していました。 弟曰く、家は自分一人の力で建てたもので、母には一切援…[サブカテゴリー]:
O家の事例:家系図参考になった!9
2019-08-20[カテゴリー]:
母が勝手に父の預貯金を引き出しているが、これをやめさせたい。
これから発生する父の相続について不安があります。 家族構成は、両親と兄、私の4人で、兄と私は結婚を機に実家を出て生活しています。 3年前、父は心筋梗塞で倒れ、一時危険な状態でしたが、何とか持ち直しました。 退院後、「すべての財産を長女(私)に渡す」という内容の公…[サブカテゴリー]:
T家の事例:家系図参考になった!7

参考にしたい相続関連記事

2019-07-15
Q7.名義財産の判断基準
財産を実質的に管理・支配していたのは誰か。特に故人が病床に臥せっていたり、認知症にり患したタイミングに注目する。同居を始めたタイミングも重要になる。 名義財産という概念がある …
2020-02-16
Q59.勝手に引き出した形跡がある
銀行預金を調査 勝手に銀行預金を引き下ろされた。そんな相談を受けることは多い。預金口座の引き落としの問題についてはどのように対応するべきなのか。 銀行預金の残高を調…
2018-11-25
【名義預金には要注意】相続税の税務調査で注目されるもの
名義預金を重点的に調査する相続税の税務調査 相続税の税務調査におけるメインは、名義預金とされています。不動産など所有関係が明らかになりがちな表現資産に対して、預金や有価証券などの不表現財産…
2019-08-19
5.重要事項説明書の説明
5.重要事項説明書の説明不動産を相続した時の各種手続 宅地建物取引業法では、宅地・建物の売買契約を締結するまでの間に、不動産会社は購入予定者に対して物件と取引について重要…
2018-11-01
【現金良い不動産が相続税申告で有利に扱われるのはなぜか】相続税法においては、土地…
相続税申告において、不動産は現金より有利 相続税を計算する際、不動産のうち、土地は路線価方式に基づいて評価します(建物は固定資産税評価額により評価)。「相続、遺贈又は贈与により取得した財産…
2018-09-16
【遺産分割の対象と相続の対象は同義ではない】相続における法の多元性
相続税法は公法 相続については遺産分割を律する民法と、相続税法では、基準が異なります。民法が私人間の権利関係の調整を図る目的のものであるのに対し、相続税法は確実な相続税の賦課・徴収を図る目…
ページトップへ

カテゴリ別 相続相談一覧これまで弁護士に寄せられたカテゴリ別相続問題

遺 言
遺言無効を争う
遺留分を争う
  • 遺言無効
    確認訴訟
  • 遺留分
    減殺請求
  • 遺言執行者
    解任
だましうちで遺言を書かせる。財産の不正操作の常とう手段です。遺言無効確認の訴えや、遺留分減殺請求などにより、財産の不正操作と戦います。
遺産分割
財産の不正操作に
要注意!
  • 預金の
    無断引出
  • 名義の
    無断書換
預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を勝手に書き換える。財産の不正操作と徹底的に戦う覚悟がある方のお力になります。
不動産相続
評価や分け方で
モメる不動産相続
  • 評 価
    トラブル
  • 分 割
    トラブル
  • 不動産の
    不正操作
分けられない財産の典型である不動産。不動産の評価について相続人間でモメます。そもそも不動産が相続財産かどうかも問題になります。不動産を独り占めする財産の不正操作と最後まで戦います。
事業承継
同族会社の
内部紛争に勝つ!
  • 取締役の
    不正追及
  • 株主総会
    の形骸化
同族会社の内部紛争や支配権争いでお悩みの方のお手伝いをします。事業を営む方の相続問題は通常の相続以上に複雑です。会社の支配権を勝ちとり、事業を守り抜きます。
国際相続
国外財産があると
どうなるの?
  • 海外財産
  • 海外在住
  • 国際結婚
相続財産が海外にある場合、手続きが複雑になります。国内財産の分け方も絡む紛争を総合的に解決します。
相続税
節税対策の
ポイントを知りたい
  • 税務調査
  • 税務訴訟
  • 相続税の
    還付
生前にどれだけ詳細にシミュレーションすることができたかで、相続税対策は決まります。遺言内容にも影響しますので、多方面からの検討をする意味でも弁護士兼税理士にお任せ下さい。