【遺言があるのに不安定な立場】遺産分割調停・遺留分・遺言無効確認訴訟の連動

【遺言があるのに不安定な立場】遺産分割調停・遺留分・遺言無効確認訴訟の連動

[投稿日]: [投稿者]:
[サブカテゴリ]:

【遺言があるのに不安定な立場】遺産分割調停・遺留分・遺言無効確認訴訟の連動

相談者からの相談内容

現在、遺言無効確認訴訟で争っています。 遺言内容は私がすべての財産を相続する者ですが、相続財産のほとんどが自宅で、 自宅の評価額次第では売却して代償金をねん出する必要があります。 遺言無効確認訴訟に先行して遺産分割調停が継続していたところ、遺産分割調停が取り下げられました。 その後に遺言が無効であるとして、遺言無効確認訴訟を起こされています。 あたかも揺さぶりをかけられているような気がします。 相手の意図も読みづらく、当初は遺留分を主張していたことからすると、 遺言が有効であることを前提にしていたように思えるのですが、遺言の有効性に疑義をさしはさむ趣旨の発言もありました。 現在は遺言が無効であることを前提として、遺言無効確認訴訟を起こしています。 遺産分割調停もかなり長くかかったのですが、この後も長くかかりそうです。 自宅は築数十年の古い家なので、雨漏りなどがしておりリフォームが必要ですが、 この後の裁判の結果次第では家を売却する必要も出てきます。 最終的な決着がつくまでは自宅のリフォームを控えた方がよいのか。 それとも裁判のことを考えずに修繕などを進めてよいのか。 色々なことに影響しそうなので、状況が複雑です。 見通しや解決までの時間はわかりませんか。
弁護士からの
一言アドバイス
「学ぶ」コーナーでまずは勉強 頃合を見計らって弁護士に依頼 状況によって弁護士に依頼 至急弁護士に依頼することが望ましい 今すぐ弁護士に依頼することが望ましい
今すぐ弁護士度
簡単に解決できる見込み やや簡単に解決できる見込み 解決できる見込みあり 解決するのがやや難しい 解決するのが難しい
解決難易度

遺言無効確認と遺産分割調停、遺留分は表裏一体の関係

遺産分割調停が進んでいたにもかかわらず、途中で遺言無意向確認訴訟に切り替わってしまうケースは、一定の頻度で発生します。
背景には、遺言無効確認訴訟において、公正証書遺言も含めて、遺言の有効性を否定する裁判事例が増えていることがあります。
少し前であれば、公正証書遺言があるからあきらめるケースが多かったと思いますが、認知症にり患している状況等があれば積極的に、遺言無効確認訴訟を提起しようとする動きがあるのでしょう。
遺言無効確認訴訟の資料を収集するのに時間がかかっていて、ようやく提起できる資料が集まった時点で遺言無効確認訴訟を提起するというケースもあるでしょう。
遺産分割調停において交渉していたものの、望んでいたほどの譲歩が見込めないとして、遺産分割調停を取り下げることはあり得ます。
遺言無効確認訴訟で敗訴した場合には、流れとして遺留分の話になります。
このように、遺産分割調停と遺留分の調停、遺言無効確認訴訟は表裏一体の関係にあります。
それぞれが単独で問題になるというよりも、場面に応じて、状況に応じて、時間軸がズレるにつれて、複合的に問題になるのです。
お困りの点は、遺言無効確認訴訟を起こされてしまった。
今後どのくらいかかって紛争が最終的に終結するかがわからないが、終結するまでの間に自宅をリフォームしたい。
しかし裁判の結果次第によっては、自宅を手放すことにもなりかねず、無駄な出費になってしまうことを避けたい。
ということかと理解しています。
裁判の終結までには時間がかかってしまう可能性が高いと思います。
1年以上はかかるでしょう。
遺言無効確認訴訟で敗訴すれば、遺産分割調停で法定相続分を取られてしまうので、自宅を手放すことになる可能性が高まります。
遺言無効確認訴訟で勝訴し確定しても、後に続く遺留分の調停又は訴訟において、自宅不動産の評価次第では自宅を売却せざるを得ません。
自宅を相続して確定的に自分のものにできるかについては、不安定な状況が続きます。
相手方の主張がころころ変わるのも、困りものです。
遺産分割調停の段階では前言を翻す当事者に対して、有効な手段は限られています。
遺言無効確認訴訟を起こすのに時効はないので、相手の出方次第で不安定な状況が続くのです。
一般に、遺言の有効性についての訴訟は、遺言を有効であると考える当事者からイニシアチブをとって起こすことは出来ません。
遺産分割調停の段階から遺言の有効性を争う発言もあったということなので、早期に遺言有効確認訴訟をこちらの方から提起する等の方策もあったかもしれません。
その場合でも、遺言有効確認訴訟は裁判所がなるべく受けないようにしています。
遺言無効確認訴訟を提起された現状では、早期に遺言無効確認訴訟の判決を確定させることが一番かと思います。
遺言無効確認訴訟の勝訴見込にもよりますが、遺言無効確認訴訟が確定するまでは自宅のリフォームをいったんは中断したほうが良いかと思います。

ここがポイント!

遺言があっても遺言無効確認訴訟が確定するまでは安心できない

遺言無効確認訴訟の判決が確定するまでは不安定な立場。
一般に遺言無効確認訴訟はこちらから先手を打てない分、不安定な状況が続くことも。

[投稿日]: [投稿者]:永田町法律税務事務所

この記事が参考になった方はクリック!

同じカテゴリーの相続相談事例 [カテゴリー:遺言編]

2019-08-20[カテゴリー]:
なんと遺言は2通あった!2通目の遺言の有効性が怪しい。
先日、父が亡くなりました。母は10年前に亡くなっていますので、相続人は長女である私、次女(妹)、長男(弟)の3人です。 母が亡くなった直後、私は父から遺言を作ったと聞きました。 長年連れ添った母が亡くなり、これからのことが不安になったため、遺言を作成したとのことでした。 そ…[サブカテゴリー]:
O家の事例:家系図参考になった!8
2019-08-20[カテゴリー]:
【遺言者本人の意向確認】遺言無効確認訴訟を検討したい
父が亡くなり、兄と相続でもめています。 父の遺言が見つかったのですが、生前に聞いていた父の意向とは大きくかけ離れています。 不動産を私に相続させると言っていたにもかかわらず、実際には遺言で兄が相続することになっています。 また相続財産のほとんどを兄が相続する内容の遺言になっていま…[サブカテゴリー]:
2019-08-19[カテゴリー]:
遺言能力について争う際のポイントを把握したうえで、遺言を作成すべき。
父が遺言を残して亡くなりました。 遺言には財産の分け方が書かれているのですが、私には父名義のマンション1棟を残してくれました。ほかの兄弟にもそれぞれ現金などを残しているのですが、私が多めにもらっているという理由で、遺言の内容に対して兄弟は不満を持っています。 遺言は2通あり、…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
書き直された遺言の有効性を争いたい。
祖父が亡くなりました。 祖父には3人の子どもがいましたが、長男である私の父は既に他界しています。祖母は20年前に亡くなっているので、祖父の相続人は、二男とそして孫である私たち兄弟の3人です。 私の家系は代々医師として医療に携わっており、祖父は病院を経営していました。ちなみに、私も…[サブカテゴリー]:
2019-10-29[カテゴリー]:,
【金持ちの令嬢必見?】結婚前の相続対策【相続させない方法】
家業を営んでいます。1人娘が結婚するのですが正直、私たちの家の財産が目当てなのではないかと思えて仕方がありません。こんなことを言わずに、素直に喜ぶべきかと思うのですが、もともとお金に困っていそうな方なので、今後のことが心配です。この前も一緒に食事をした時には、うちの会社があたかも…[サブカテゴリー]:

参考にしたい相続関連記事

2019-08-19
3.相続財産を評価しなければ始まらない
3.相続財産を評価しなければ始まらない不動産にかかる相続税 相続財産の評価の仕方にはルールがあります。特に節税効果が高い不動産についての評価の方法を知ると知らないとでは相…
2019-08-19
限定承認、相続放棄について -よくある質問 遺産分割Q&A
相続するかどうか(単純承認・相続放棄・限定承認)よくある質問 遺言Q&A 相続する場合はどのような手続が必要ですか? 限定承認や相続放棄をしないで、相続人が被相続人の…
2020-03-23
Q71.産分割調停の進行
相続人と相続財産の範囲の確定が先行。 遺産分割調停に臨む当事者は、色々なことを主張する可能性がある 寄与分の主張や特別受益の主張、不動産価格についての意見など…
2021-09-10
相続税対策や相続争い(争族)における養子縁組』で氏は変わる?
相続税対策や相続争いにおいて、特定の相続人の遺留分を少なくするために養子縁組をすることは、非常に有効です。それにもかかわらず養子縁組を躊躇される方が多いのですが、理由の1つは氏が変わるからと…
2019-08-24
後継者争いで「争続」に発展しないために【一澤帆布】
自社株の生前贈与がポイント 一澤帆布の事例の場合、先代の目の黒いうちに会社の株を信三郎氏に生前贈与しておくことが大切であった。後継者として社長の地位を揺るぎないものにしておくことがポイント…
2019-10-29
相続・遺産分割で金融資産の換価に時間がかかるわけ【銀行編】
相続開始により債務は法定相続分の限度でしか各相続人に請求できない 債務者が亡くなって相続が開始した。そのこと自体は全くコントロールできないのだが、どの相続人に対して何を請求できるのかを銀行…
ページトップへ

カテゴリ別 相続相談一覧これまで弁護士に寄せられたカテゴリ別相続問題

遺 言
遺言無効を争う
遺留分を争う
  • 遺言無効
    確認訴訟
  • 遺留分
    減殺請求
  • 遺言執行者
    解任
だましうちで遺言を書かせる。財産の不正操作の常とう手段です。遺言無効確認の訴えや、遺留分減殺請求などにより、財産の不正操作と戦います。
遺産分割
財産の不正操作に
要注意!
  • 預金の
    無断引出
  • 名義の
    無断書換
預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を勝手に書き換える。財産の不正操作と徹底的に戦う覚悟がある方のお力になります。
不動産相続
評価や分け方で
モメる不動産相続
  • 評 価
    トラブル
  • 分 割
    トラブル
  • 不動産の
    不正操作
分けられない財産の典型である不動産。不動産の評価について相続人間でモメます。そもそも不動産が相続財産かどうかも問題になります。不動産を独り占めする財産の不正操作と最後まで戦います。
事業承継
同族会社の
内部紛争に勝つ!
  • 取締役の
    不正追及
  • 株主総会
    の形骸化
同族会社の内部紛争や支配権争いでお悩みの方のお手伝いをします。事業を営む方の相続問題は通常の相続以上に複雑です。会社の支配権を勝ちとり、事業を守り抜きます。
国際相続
国外財産があると
どうなるの?
  • 海外財産
  • 海外在住
  • 国際結婚
相続財産が海外にある場合、手続きが複雑になります。国内財産の分け方も絡む紛争を総合的に解決します。
相続税
節税対策の
ポイントを知りたい
  • 税務調査
  • 税務訴訟
  • 相続税の
    還付
生前にどれだけ詳細にシミュレーションすることができたかで、相続税対策は決まります。遺言内容にも影響しますので、多方面からの検討をする意味でも弁護士兼税理士にお任せ下さい。