妹が遺言のあいまいな文言を盾に、約束を守らない。

妹が遺言のあいまいな文言を盾に、約束を守らない。

[投稿日]: [投稿者]:
[サブカテゴリ]:
妹が遺言のあいまいな文言を盾に、約束を守らない。

妹が遺言のあいまいな文言を盾に、約束を守らない。

相談者からの相談内容

1年前に父が亡くなりました。 母はすでに他界しており、相続人は私と妹の2人です。   父は遺言を残しており、その遺言には「私の死後、自宅を売った場合には、長女に7割、次女に3割の割合で分配することとします」と書かれていました。 私としては父の意思を尊重したいと考えていましたが、次女は自宅(実家不動産)を売却したくないと主張してきましたので、 不動産会社に実家不動産を査定してもらい、算出された査定価格の7割(2億1000万円)を妹が私に支払うことにしました。 しかし、話し合いがまとまった後になって、遺言には「自宅を売った場合」とあるので、実家不動産を売却しない場合には遺言の通り分ける必要はないと妹が言い出し、私にお金を支払わないと主張し始めました。   一度決めたことなので、きちんと支払うよう妹に連絡しても、うまく話を進めることができません。 まともに話し合うこともできない妹に対し、今後どのように対応していくべきなのでしょうか。
弁護士からの
一言アドバイス
「学ぶ」コーナーでまずは勉強 頃合を見計らって弁護士に依頼 状況によって弁護士に依頼 至急弁護士に依頼することが望ましい 今すぐ弁護士に依頼することが望ましい
今すぐ弁護士度
簡単に解決できる見込み やや簡単に解決できる見込み 解決できる見込みあり 解決するのがやや難しい 解決するのが難しい
解決難易度

まず遺言の文言について注意しなければならない点があります。

お父様の遺言には「自宅を売った場合」と書かれているとのことから、遺言の文言から判断するに、お父様の遺言はご実家を売却したことを前提にしていると読むことができます。ご相談者の場合、ご実家の不動産を売却しないとのことですので、お父様の遺言が適用されない可能性があります。その場合、遺産分割協議を経て分割することになります。

お父様がご存命の頃から存在していた建物が既に取り壊されているのか、現在も残っているのかは窺い知れませんが、現在も残っている場合にはこの建物も相続の対象になります。遺産分割協議書において、建物が遺産であることとその分け方について記載する必要があります。

次に分割の方法について回答します。妹さんがご実家の不動産の所有権を単独で取得するかわりにご相談者が受け取る2億1000万円という額は、不動産会社の査定価格から算出したとのことですが、この不動産会社はご相談者もご納得の上で選ばれた会社でしょうか。もし妹さんが用意した会社であれば、ご相談者に支払う現金を少なくするために、査定価格を低めに設定したおそれがあります。2億1000万円という金額が適切な金額であるか検討する必要があります。

今後妹さんと話し合いをすすめていくうえで、お父様の財産がご実家の不動産のみであるのか(隠れた遺産というものが見つかることがあります。)、不動産の評価が正確であるのか、遺産分割協議書においてご相談者に不利な文言や条項が盛り込まれないか等、ご相談者に不利益が生じないかやや心配な点があります。また、妹さんが何かしらの理由をつけてお金の支払いを遅らせることも十分に考えられます。

相続は手続が複雑で、難解な部分も多いため、弁護士を選任することを検討されてみてはいかがでしょうか。弁護士が登場することにより妹さんも不誠実な交渉態度をとらなくなることが期待できます。

ここがポイント!

遺言が残されていたとしても、遺言内容が一義的ではない場合には、遺言の解釈をめぐって争いになることもあります。遺言内容の不明瞭さを奇貨として相手方が争ってきた場合には、弁護士に任せることで相手方の態度が変わってくることもあります。

[投稿日]: [投稿者]:永田町法律税務事務所

この記事が参考になった方はクリック!

同じカテゴリーの相続相談事例 [カテゴリー:不動産相続編]

2019-08-20[カテゴリー]:
自宅門扉の土地が一部、他人のものだった!【多数の相続人相手の時効主張】
相続に向けての終活をしていて、田舎の一軒家の不動産を売却しようということになりました。 不動産業者にお願いして査定をしてもらったところ、なんと門扉の土地の一部が他人のものであったことが分かりました。 今まで何十年も気づかずに使用していたのですが、買い取って自分のものにしないと売れ…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
共有持ち分の買取を請求する相続人。不動産の評価でもめている。
両親が残してくれた不動産について兄弟でもめています。 父は17年前に亡くなりました。 その際の相続では、父の遺産である鎌倉の実家家屋を母が相続し、実家土地を兄と私の2人で相続しました。 自宅土地は兄と私が2分の1ずつ共有ということになりました。 父の死後、…[サブカテゴリー]:
I家の事例:家系図参考になった!13
2019-08-20[カテゴリー]:
【私道部分が相続できない!】遺産分割協議書の相続財産目録から漏れた不動産
遺産分割で長い間もめていたにもかかわらず、先日やっと遺産分割協議がまとまりました。 安心していたのですが、不動産の登記をしようとしたときに大きな問題が見つかりました。 なんと遺産分割協議書で記載していた財産目録のうち、不動産について私道部分の漏れていたのです。 このまま相続登記を…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
預金の無断引き出しを問題にする方法
両親が残してくれた不動産について兄弟でもめています。 父は17年前に亡くなりました。 その際の相続では、父の遺産である鎌倉の実家家屋を母が相続し、実家土地を兄と私の2人で相続しました。 自宅土地は兄と私が2分の1ずつ共有ということになりました。 父の死後、母は一人暮らしを…[サブカテゴリー]:
T家の事例:家系図参考になった!10
2019-08-20[カテゴリー]:
相続人ではない弟の妻が口を出してくる。
父の相続について兄弟間でもめています。 私の家は代々続く地主で、神奈川県に不動産を多数所有しており、貸しビル業も営んでいます。 相続人は私と弟の2人なのですが、何かにつけ弟の妻が口を挟んできます。 特に遺言はありません。 金融資産もあるのですが、相続税の支払いや今後の経営…[サブカテゴリー]:
S家の事例:家系図参考になった!9

参考にしたい相続関連記事

2018-10-08
【不動産の価格は遺産分割終了時を基準に評価】長期間かかる遺産分割事件
10年かかる遺産分割事件も 遺産分割は、実際に10年程度かかる事件もあります。相続人の数が多いケースや相続人間の意見対立が激しいケース、モンスターのような相続人がいるケースでは、遺産分割が…
2019-08-19
取締役の不正追及
【弁護士に寄せられた悩みゴト2】取締役の不正を追及したい取締役の不正追及 不正を行った取締役をそのまま放置し何らその不正について責任を追及しなければ、会社の損害が更に拡大…
2019-08-19
6. 死因贈与契約 -遺言を書きましょう
6. 死因贈与契約遺言を書きましょう そもそも死因贈与契約とは? 贈与とは、当事者の一方(贈与者)が、自分の財産を無償で受贈者に与える意思を表示し、相手方がその意思を…
2019-09-11
君島王国の崩壊を防ぐには【君島グループ】
スキャンダルのニュースバリューを下げる スキャンダルの原因となった人物が経営トップに就任し、その会社の顔となると、マスコミが面白がって飛びつき、大々的に報道される。途端に、その会社のブラン…
2017-11-17
4章 相続は全員一致ルール
相続は全員一致ルール4章 相続は全員一致ルール 遺産相続でモメるポイントとして、「トラブルメーカーの存在」が挙げられます。 遺産相続における遺産分割協議の成立要件…
2019-06-23
【相続税を納付すれば終わりというわけではない】相続財産を売却した譲渡所得にかかっ…
相続財産に対して発生する税金は相続税だけではない 土地や建物を売却して得た所得を「譲渡所得」といいます。譲渡所得に対しては給与所得や事業所得といった所得とは別に分離して(分離課税方式)、所…
ページトップへ

カテゴリ別 相続相談一覧これまで弁護士に寄せられたカテゴリ別相続問題

遺 言
遺言無効を争う
遺留分を争う
  • 遺言無効
    確認訴訟
  • 遺留分
    減殺請求
  • 遺言執行者
    解任
だましうちで遺言を書かせる。財産の不正操作の常とう手段です。遺言無効確認の訴えや、遺留分減殺請求などにより、財産の不正操作と戦います。
遺産分割
財産の不正操作に
要注意!
  • 預金の
    無断引出
  • 名義の
    無断書換
預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を勝手に書き換える。財産の不正操作と徹底的に戦う覚悟がある方のお力になります。
不動産相続
評価や分け方で
モメる不動産相続
  • 評 価
    トラブル
  • 分 割
    トラブル
  • 不動産の
    不正操作
分けられない財産の典型である不動産。不動産の評価について相続人間でモメます。そもそも不動産が相続財産かどうかも問題になります。不動産を独り占めする財産の不正操作と最後まで戦います。
事業承継
同族会社の
内部紛争に勝つ!
  • 取締役の
    不正追及
  • 株主総会
    の形骸化
同族会社の内部紛争や支配権争いでお悩みの方のお手伝いをします。事業を営む方の相続問題は通常の相続以上に複雑です。会社の支配権を勝ちとり、事業を守り抜きます。
国際相続
国外財産があると
どうなるの?
  • 海外財産
  • 海外在住
  • 国際結婚
相続財産が海外にある場合、手続きが複雑になります。国内財産の分け方も絡む紛争を総合的に解決します。
相続税
節税対策の
ポイントを知りたい
  • 税務調査
  • 税務訴訟
  • 相続税の
    還付
生前にどれだけ詳細にシミュレーションすることができたかで、相続税対策は決まります。遺言内容にも影響しますので、多方面からの検討をする意味でも弁護士兼税理士にお任せ下さい。