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【都市部の若年層は相続させず?子の方が相続に不安?】相続に関する親子の意識格差[POSTED]:2018-09-03
「子孫に美田は残さず」相続に関する親の意識
内閣府が平成22年度 に実施した「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査」では、相続に関連する興味深い統計結果が出ています。
調査は全国の60歳以上の男女3000人に実施していますが、調査項目の1つとして、土地や家屋などの資産をどう利用するかについて聞いています。
<回答A>「資産はできるだけ子孫のために残してやる方がよい」を選択した人の割合は49・5%。
<回答B>「資産は自分の老後を豊かにするために活用(売却、賃貸など)する方がよい」を選択した人の割合が38・2%でした(残りは「分からない」)。
同様の調査は5年前の平成17年度にも実施されていますが、<回答A>は55・0%で、<回答B>は41・8%。
同平成13年度調査においては、<回答A>は65・5%、<回答B>は32・2%でした。
過去3回の結果をみる限り、少なくとも「資産はできるだけ子孫のために残してやる方がよい」と考えている人は減少傾向にあることが分かります。
都市部の若年層は相続させず自分で使う
細かく見れば平成13年度調査では、大都市部に限定すると<回答A>は39・0%に対し、<回答B>の47・7%で、都会の高齢者の方が、資産を自分たちのために活用したいと考える傾向にあるといえそうです。
相続のことはあまり考えていないということでしょうね。
年齢層別にみますと、<回答A>を選んだ人の割合は80~84歳で62・6%、85歳以上で74・2%でしたが、60代になると45%程度にとどまっています。
比較的年齢が低い世代では、相続で子に相続財産を残さない、「美田を子孫に残さず」という意識が高まっている傾向にあるようです。
同居世帯が多いほど相続で残したがる
家族形態別で比較すると、調査対象者が子と孫との3世帯、あるいは子との2世帯で同居している場合は<回答A>の割合が高く、3世帯家族では71・8%、2世帯家族では58・0%に及んでいます。
一方で、調査対象者が配偶者との2人世帯の場合は<回答B>が過半数の51・4%となっています。
子供のいないケースも含まれているとみられますが、やはり子や孫と共に生活しているかどうかで、相続に関する意識は違うようです。
多世帯で暮らす方の方が先祖から相続財産を相続するという意識が高いことは、不思議ではありません。
子の方が相続に対して不安
平成25年に、ある住宅メーカーが7月の第4日曜の「親子の日」にちなみ、相続対策を検討すると予想される親世代・子世代の約300人を対象に「親と子の財産相続に関する意識調査」を実施しています。
その結果、相続について「不安や心配事がある」と答えた人の割合は、親世代が35・4%にとどまったのに対し、子世代が65・2%に上りました。
相続税に対する不安からでしょうか。
遺産分割でもめることの懸念でしょうか。
遺言を書かせないといけないという思いからでしょうか。
意外にも、相続する側の子世代の方が親世代よりも不安感を持っていることが分かります。
親の財産をもらいたいと考えている子もいるでしょう。
相続の情報に接する機会は子の方が多いからとも考えられます。
相続について親子で話し合うことはない
しかしながら、「財産相続のことについて、家族で話し合いをしている」と答えたのは、親世代が24・9%である一方、子世代が18・0%に過ぎませんでした。
不安に思いつつも、親の死を前提とした相続問題は、子の方からは相談をなかなか持ちかけにくい状況があるのかもしれません。
とはいえ、いざ親に何かあったときに、困るのは子の世代です。
せっかくの「親子の日」です。
まだまだ元気でも、遺言を書かないまでも、親世代が自ら進んで相続に対する考えをまとめておく必要があるでしょう。
相続税をきっかけに話をしてもいいと思います。
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