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【弁護士業務の最適解は一義的ではない】プロセス重視の相続弁護士 [POSTED]:2019-02-01
弁護士の仕事の本質
敗訴してしまった事件でも、「弁護士先生が一生懸命に頑張ってくれたから満足しています」と言ってもらえる事件もあります。
刑事事件での経験です。
連続強制わいせつ事件で、ある医師が逮捕されました。
医師免許を持っていたために、医師免許を死守することが家族の望みでした。
被害者が何人もいたので、示談をしても追いつかない。
立証が難しいと思われた事件まで追起訴になりました。
立件された事件のうち、示談を取っていない被害者は残り2人。
1人ひとり示談をしてもらいましたが、最後の2人はどうしても示談をしてくれません。
被告人本人や家族には再逮捕や追起訴の可能性について説明し、捜査状況を確認して報告しました。
示談についても、可能な限りの理解を得るために頑張りました。
しかし、一審では執行猶予がつきませんでした。そして、控訴審でも執行猶予はつきませんでした。
2年以上かかった裁判で、実刑が下され、家族の望みは絶たれました。
この医師は刑務所に入ることになり、医師免許も剥奪されました。
そうした結果でも、弁護士がこんなに頑張ってくれたのだから、満足であると言ってもらうことができました。
「先生がこんなに頑張ってくれたんだから、満足している。やるだけのことはやったと感じている」と。
刑事事件という全く違う分野ではありますが、弁護士の仕事の本質をついていると思います。
プロセスが重視される相続弁護士
裁判に勝つか負けるかは、受任した後の頑張りによって決まる事件もありますが、最初に依頼を受けた段階で、証拠がなくてどうしようもない事件もあります。
だからこそ、弁護士はプロセスが重要だと思います。
やるだけのことはやったということだけで、納得してもらえる事件もあるのです。
もちろん結果を出すことが重要なのは言うまでもありませんが。
依頼者が見ているのは、もらった判決文に書いてある結果そのものだけではないということだけは確かです。
相続弁護士の業務では最適解は一義的ではない
相続事件において、特定の財産を誰がどれだけ相続するかという点に依頼者の関心はあることは間違いありませんが、税理士業務でいうところの最適解に当たるものは一義的ではありません。
裁判の進行によって、依頼者の希望も変化します。
特に相続事件の場合、終結までに多くの場合、1年以上かかります。
その間に、事件は動きます。
双方が書面を出しながら主張を戦わせる。
新事情が明らかになる。
依頼者の事情が変わる。
その度にミーティングを行い、協議する…。
事件が弁護士の活動とともに生成され、弁護士もまた、その生成過程の当事者となって進んでいくのが、裁判です。
結果も大事ですがプロセスも同様に重要なのが、弁護士業務なのです。
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