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【相続時精算課税制度は値上がり確実な財産についてメリット大】相続時精算課税と暦年課税、どちらを選択すべきか? [POSTED]:2019-03-29
相続時精算課税制度を活用して節税効果が期待できるケース
息子のマンションの頭金にあてる1000万円を父親が資金援助したとしましょう。
暦年課税で1000万円の一括贈与を受けた場合、年間110万円の非課税枠をオーバーしてしまいます。
1000万円-110万円=890万円の税率は30%、控除額90万円なので、贈与税は177万円になります。
さりとて、贈与税がかからないように、非課税の枠内で生前贈与を受けようとすれば、1000万円に到達するまでに10年もかかります。
一方、相続時精算課税で生前贈与を受ければ2500万円まで非課税ですから、父親から1000万円もらっても息子は贈与税を払わなくて済みます。
ただし、相続時には贈与分を相続財産と合算して相続税を支払わなければなりません。
この合計額が相続税の基礎控除額を上回らずに相続税がかからないなら、生前贈与で大きく相続財産を減らせる相続時精算課税を選んだほうが得です。
相続税の基礎控除額は「3000万円+(600万円×法定相続人数)」。
たとえば、3人の子どもがいる夫婦の夫が亡くなった場合、基礎控除額は5400万円です。
相続財産に贈与分を足し合わせて5400万円以下なら、相続時精算課税制度を活用したほうが大きく節税できるわけです。
相続時精算課税制度は、将来の相続で相続税がかかってこないと見込まれる人にとっては大きなメリットがある課税制度といえます。
最終的に相続税を支払うのならメリットはないのか?
では、相続財産と贈与分の合計が基礎控除額を上回って、相続税がかかってくる場合はどうでしょうか。
例えば、自宅の評価額が約1億5000万円の場合、5400万円の基礎控除を大きく上回ることになるので、父親の相続財産に息子が生前贈与を受けた1000万円を足し戻して、相続税を精算することになります。
最終的に精算して相続税を支払うことになるのなら、相続時精算課税制度を使ってもそれほど意味がないように感じるかもしれませんが、決してそうではありません。相続時精算課税を選択するメリットはほかにもあります。
相続時精算課税制度のメリット
メリットの一つは、相続時精算課税制度では、相続財産と合算する贈与財産の評価額は、贈与時の評価額で計算されるということです。
分かりやすい例を挙げましょう。たとえば父親が大事にしていた骨董の壺。もともと10万円で買ったものが、骨董ブームに乗って、父親の死亡時にはその価値が200万円に高騰していたとします。
父親が亡くなるまで誰にも贈与しないで持ち続ければ、この壺は「200万円の相続財産」として扱われます。
しかし相続時精算課税制度を使って、壺の価値が高騰する以前に子どもに贈与されていれば、壺の評価額は贈与時に確定して、相続時にも「10万円の財産」として扱われることになるのです。
相続時精算課税制度を使って贈与した財産の評価額が、贈与時に比べて相続時のほうが高くなっている場合は、結果的に節税できたことになります。
将来、値上がりすることが確実な財産、たとえば上場が見込まれている未公開株、あるいは市街化調整区域から市街化区域への変更が予定されている土地、高速道路や鉄道など交通インフラの整備計画に関係してくる土地などは、相続時精算課税制度を活用すれば大きな節税が可能になります。
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