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【現金良い不動産が相続税申告で有利に扱われるのはなぜか】相続税法においては、土地は路線価、建物は固定資産税評価額[POSTED]:2018-11-01
相続税申告において、不動産は現金より有利
相続税を計算する際、不動産のうち、土地は路線価方式に基づいて評価します(建物は固定資産税評価額により評価)。
「相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は取得時における時価による」(相続税法22法)とされ、その「時価」について財産評価基本通達では、「課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」と定義し、「その価額は、この通達の定めによって評価した価額による」としたうえで、宅地の評価方式を路線価方式(市街地的形態を形成する地域にある宅地について。それ以外の宅地は倍率方式)としています。
結論として、路線価に基づいて算出した相続税評価額は、「時価」よりも約2割安くなっているといわれています。
これが何を意味するかというと、相続税の申告において、不動産は現金よりも有利に扱われるということです。
1億円の現金があるとします。
この現金1億円がそのままの状態で相続が発生すれば、1億円の現金は1億円の価値をそのまま評価され、1億円の相続税評価額となります。
ところが、1億円の現金を使って土地を購入したとします。
すると相続が発生した時に約2割安く、約8,000万円で評価されますので、約8,000万円の相続税評価額になるのです。
節税効果は家族状況や他の財産額、財産構成にもよりますが、最大税率が適用された時は1,100万円にもなります。
この謳い文句で、富裕層が不動産を購入するのです。
富裕層の各国別の資産保有状況を比較すると、日本の富裕層の財産構成が極端に不動産に偏っていて、有価証券の割合が少ない点が指摘されます。
これをもって、日本の資産家に投資のリテラシーがない旨が指摘されています。
しかし、不動産所有に有利な相続税制が原因である旨の指摘も、説得力があります。
相続税の納税資金確保も必要
換金性という意味では、不動産は有価証券と比べて劣ります。
不動産は、すぐに売却して現金化することができないからです。
多くの場合、地道に売却活動をして売却先を見つけ、契約する手続きが必要となりますので、不動産を売却するには最低でも1~2カ月の期間が必要となります。
一方、株式などの有価証券は、例えば上場株式であれば市場でいつでも売却することができます。
売却手続自体も数分で完了しますから、有価証券は換金性が非常に高いといえるでしょう。
日本の資産家の資産構成が不動産に偏っているとすると、多額の相続税が発生することが予想される資産家にとって、相続対策として納税資金の確保も課題となってくるといえます。
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