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【遺言の付言事項には法的な意味はないのか】遺書と遺言の違い[POSTED]:2018-07-21
とあるテレビ番組に出演して、相続の解説をしたときのことです。
女性アナウンサーが「遺言」を「いしょ」と読んでしまい、私の指摘で撮り直しになりました。
私は私で、「いごん」と読んで何回もNGを出してしまいました。
私がなぜ、「いごん」と読んでしまったか。
これは法律の世界における慣用的な読み方なのです。
通常は「ゆいごん」と読みますが、なぜか法律上は「いごん」です。
このような例はほかにもあります。
「権力分立」を「けんりょくぶんりゅう」、「競売」を「けいばい」、「施行」を「しこう」とそれぞれ読むなど、司法試験の勉強を始めた時の私は戸惑ったものです。
「遺書」と「遺言」では何が違うのでしょうか。
「遺書(いしょ)」は、死後のために書き残す文書や手紙のことで、特に書式などが決まっているわけではありません。
首つり自殺の死体の脇に置いてあるものが遺書です。
ちなみにダイイング・メッセージとは、推理小説などで、殺人事件の被害者が死ぬ直前に書き残したメッセージのことで、犯人を知る手がかりとなるもの。
「遺言」とは、人が、死亡後に法律上の効力を生じさせる目的で、遺贈、相続分の指定、相続人の廃除、認知などについて、民法上の一定の方式に従ってする単独の意思表示のことです。
法的に効果がある部分と、ない部分に分かれます。
法的効果がある部分は誰にどの財産を残すか(遺産分割方法の指定)や、誰々にはどのくらいの財産を相続させるか(相続分の指定)などの事項です。
これに対して、遺言者の最後の想いや遺言を残した経緯などは遺言の末尾に付言事項として書かれますが、法的には意味を成しません。
つまり、守るも守らないも相続人次第です。
とはいえ、法的に効果がない部分も、遺言にとっては非常に重要です。
いきなり無機質で機械的な遺言内容を突き付けられた相続人は、なぜこのような分割を指定したのだろうと考えるはずです。
納得がいかない相続人が、偽造されたとして遺言無効訴訟を起こすこともあります。
作成者が遺言作成に至った想いを明示することで、相続人の疑念や不満を払拭し、納得させることができるのです。
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