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【海外における非嫡出子をめぐる事情も判断根拠の一つに】非嫡出子の相続分をめぐる裁判が遺産分割に与える影響[POSTED]:2018-07-08
自身の浮気が原因で、フランス大統領が事実婚の妻との関係を解消したというニュースが以前にありました。
事実婚とは、婚姻届を出さず、法律上の婚姻をしない「結婚」のカタチです。
日本でも法律婚をした場合、戸籍上の姓をどちらかのものに統一することになるため、これを嫌う事実婚のカップルが増えています。
改姓の負担の点で男女平等を徹底する、「夫は仕事、妻は家事」という昔ながらのスタイルを打破する、など事実婚を貫く理由は様々なようです。
事実婚の場合、生まれてきた子は「非嫡出子(婚外子)」となります。
一方、法律婚の夫婦の子は「嫡出子」となります。
法律婚をせずに子供を産み育てる事実婚のカップルや、一人で子供を育てるシングルマザーの増加もあってか、全出生数に占める非嫡出子の割合は平成2年の1・1%(約1万3000人)から平成26年には2.3%(約2万3000人)にまで増えています。
この非嫡出子を巡る重要な最高裁の判断が、平成25年9月4日に出されました。
民法が定める「非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の2分の1」という規定を憲法違反であるとしたのです。
法律の規定についての最高裁の違憲判断は過去に8例しかなく、異例の判断でした。
いわゆる「非嫡出子相続格差規定」と呼ばれるこの規定では、Bさんを法律婚の妻にもつAさんが、妻以外の女性Cさんを恋人にしている場合で、Bさんとの間に子供Dが、Cさんとの間に子供Eが、それぞれ生まれたとすると、Dさんは嫡出子、Eさんは非嫡出子になります。
Aさんが死んだ場合、その財産を相続するのは、法律上はBさん、Dさん、Eさんとなるのですが、DさんとEさんの割合は2対1でした。
従来の最高裁の判断は、この2対1という格差ルールについて「法律婚の尊重と非嫡出子の保護」を理由に合憲としてきました。
「民法の採用する法律婚主義に基づいて嫡出子の立場を尊重するとともに、非嫡出子にも配慮して調整を図っており、合理的理由のない差別とはいえない」としてきたわけです。
しかし、今回の最高裁判断は「婚姻、家族の形態が著しく多様化しており、これに伴い、婚姻、家族の在り方に対する国民の意識の多様化が大きく進んでいる」などと指摘。
「父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきである」という理由で、「非嫡出子相続格差規定」について初めての違憲判断を出しました。
簡単に言えば、親の事情はともかく、生まれてきた子に差別される理由はない、家族のあり方も多様化し、社会の考え方も以前とは違ってきたというものです。
最高裁は、「現在、我が国以外で嫡出子と嫡出でない子の相続分に差異を設けている国は、欧米諸国にはなく、世界的にも限られた状況にある」、国際連合の関連組織である自由権規約委員会及び児童の権利委員会が「相続における差別的規定を問題にして、懸念の表明、法改正の勧告等を繰り返してきた」と指摘し、海外の事情も判断の根拠の1つとしています。
諸外国の非嫡出子の割合についてみると、フランスでなんと44.3%、スウェーデンでは56.0%、アメリカで34.0%と、それぞれかなりの割合になっています。
一方で、日本はわずか2%です。
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