自宅門扉の土地が一部、他人のものだった!【多数の相続人相手の時効主張】
[サブカテゴリ]:不動産相続
自宅門扉の土地が一部、他人のものだった!【多数の相続人相手の時効主張】
相談者からの相談内容
相続に向けての終活をしていて、田舎の一軒家の不動産を売却しようということになりました。 不動産業者にお願いして査定をしてもらったところ、なんと門扉の土地の一部が他人のものであったことが分かりました。 今まで何十年も気づかずに使用していたのですが、買い取って自分のものにしないと売れないとのことです。 隣家のものなのですが、登記簿を調べたところ、かなり昔の昭和初期から登記が放置されています。 現在の相続人が何人くらいいるのか、どこに住んでいるのかもわからず、連絡を取るにしても大変なことが分かりました。 このままでは終活で売却しようとしていた田舎の不動産も売れません。 不動産を売却するには、どのような方法があるのでしょうか。- 弁護士からの
一言アドバイス - 「学ぶ」コーナーでまずは勉強 頃合を見計らって弁護士に依頼 状況によって弁護士に依頼 至急弁護士に依頼することが望ましい 今すぐ弁護士に依頼することが望ましい
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遺産分割未了のまま放置されている不動産
遺産分割が未了の不動産
よくある話ですが、遺産分割が未了のまま放置されている不動産についての問題です。
遺産分割が未了なので、遺産分割協議を成立させないと、問題の土地部分については現在の持ち主が確定しません。
自分が相続人のうちの1人になっているケースはよくあります。
相続人が20人以上になっている。
共同相続人に連絡を取ろうとしても取れない。
戸籍謄本をとって行く作業が途中で頓挫してしまうこともあります。
役所で保管してあるはずの戸籍謄本が家事などで紛失していることもあるのです。
それだけ相続人が多いと、行方不明の相続人も必ずいます。
海外在住の相続人もいます。
連絡が取れたとしても相続人1人あたりの持分が小さいことから、面倒なことに首を突っ込みたがらない相続人もいる。
相続分がごくわずかであるにもかかわらず、過分な権利主張をする相続人もいる。
相続人が多くなると厄介です。
専門家が介入しても結局、放置されてしまう案件もあります。
経験上、10人以上の相続人を相手に遺産分割をまとめるのはかなり時間がかかります。
共同相続人ではない者も遺産分割未了の影響を受ける
本件の場合、特殊なのが自分は共同相続人ではないという点。
連絡を取るにしても、何を目的に取るのかということです。
土地を一部、買い取りたい旨の要望を伝えて交渉を成立させるのはかなり難しいでしょう。
買取価格がそもそも決まらないと思います。
一部の相続人が納得した価格で他の相続人も売却するとは限らない。
他の相続人が価格を吊り上げてしまうと、また交渉は元に戻ってしまう。
不動産の遺産分割が未了のまま長期間が経過すると、厄介な状況になります。
時効取得を主張する
長年にわたって門扉の部分の土地を使用していた場合は、時効主張をすることが考えられます。
弁護士に相談した場合、時効取得の主張を示唆されることもあるでしょう。
長年にわたって自分のものとして利用していた物が実は、自分のものではなかった。
その場合でも時効取得を主張して自分のものであると主張することで、自分のものにする。
確かに時効取得の主張はこのケースで適切な解決方法なのですが、
問題は時効取得を主張する相手なのです。
相続人は多数に渡っているため、探索をする必要があります。
裁判で主張する場合は、被告の住所地を突き止める必要があります。
この作業が、結局は自分が多数の共同相続人になっている場合の遺産分割と同じ手間になってしまいます。
自宅を取り壊して売却することも検討
自宅の門扉の部分が他人の土地にかかっているからこそ、そのまま売却する場合には他人の権利が問題になります。
取り壊しの費用は掛かりますが、いっそのこと取り壊して更地にして売却することも検討してよいと思います。
道路との関係で土地づけの問題がありますので、売却することが困難な場合もありますが、更地にして他人の土地を売却する土地の範囲に含めないことができれば、自分だけの力で解決が可能です。
ここがポイント!
多数の共同相続人に対する時効取得は困難
時効取得は王道だが事実上困難。
更地にして売却することも検討。
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