遺言執行者に指名されている義兄主導で遺言執行が進む。財産はもらえるのか。

遺言執行者に指名されている義兄主導で遺言執行が進む。財産はもらえるのか。

[投稿日]: [投稿者]:
[サブカテゴリ]:
遺言執行者に指名されている義兄主導で遺言執行が進む。財産はもらえるのか。

遺言執行者に指名されている義兄主導で遺言執行が進む。財産はもらえるのか。

相談者からの相談内容

父の相続について、姉一家ともめています。 母は父よりも先に亡くなりましたので、相続人は姉と私の2人なのですが、義兄である姉の夫が、何かにつけ口を挟んできます。 というのも、父が亡くなって遺産分割の話を始めた際には見つかっていなかった遺言が、父の死後3カ月経って発見され、その遺言には義兄を遺言執行者に指名すると記載されていたのです。 父の意思であるなら仕方がないと思い、当初は義兄の横暴な態度も我慢していたのですが、具体的な分割を進めようと思って連絡をとっても、兄がただただ感情的になって怒鳴るだけで、一向に話し合いが進みません。 父の遺産がどのくらいあるのかについても明らかにしてくれないのです。 義兄が遺産分割に関わっている限り、まとまるものもまとまらないように思います。 何とかして義兄を遺産分割の手続きから外したいのですが、遺言執行者に指名されている以上、無理なのでしょうか。 また発見された父の遺言によると、私がもらえる財産はごくわずかなようで、到底法定相続分に及ばないものとなります。 弁護士に依頼することで、たとえ遺言があったとしても、少しでも多く遺産をもらうことができるようになりますでしょうか。  
弁護士からの
一言アドバイス
「学ぶ」コーナーでまずは勉強 頃合を見計らって弁護士に依頼 状況によって弁護士に依頼 至急弁護士に依頼することが望ましい 今すぐ弁護士に依頼することが望ましい
今すぐ弁護士度
簡単に解決できる見込み やや簡単に解決できる見込み 解決できる見込みあり 解決するのがやや難しい 解決するのが難しい
解決難易度

相続人間のみで話し合いを進めればスムーズにいくようなケースであっても、相続人以外の方が口を挟むことによって、遺産分割の話し合いが紛糾してしまい、スムーズに手続きを進めることができないことはよくあります。

本来であれば、相続人ではないお兄様を排除したうえで話し合いや各種手続きを進めることができるのですが、遺言執行者に指名されているとなると簡単に無視するわけにはいきません。

もっとも、遺言執行者を解任させる手続きがありますので、まずこの手続きをとるのが得策です。裁判所に申し立てをして遺言執行者を解任するのですが、裁判期日では遺言執行者としての任務をいかに果たしていないかを主張していくことになります。相手方である遺言執行者も反論してくることが予想されますし、心理的圧迫を与えてくることも予想されますので、手続自体は弁護士に任せてしまった方がご依頼者の精神的ご負担は軽くなるでしょう。

遺言執行者の解任を経て、本来の遺産分割の手続きを進めていくことになりますから、早期の解決をお考えであれば、遺言執行者解任申立てをするか否かの決断は早めに下すことをお勧めします。

遺言が見つかり、その遺言によるとほとんど財産をもらえないような場合、他の相続人に対して、遺留分減殺請求をすることになります。遺留分とは、相続人のために民法上確保された一定割合の相続財産のことをいいます。遺言の内容にかかわらず、遺留分相当額については最低限もらうことができます。

もっとも、遺留分が侵害されていたとしても、他の相続人に自ら請求しなければならず、当然に認められるものではありません。

遺留分減殺請求は、遺留分侵害を行ってから1年以内に行わなければいけません。遺言を発見してから時間も経過しているでしょうから、直ちに遺留分減殺請求の意思表示をすべきでしょう。

ここがポイント!

遺言執行者が適切に任務を行わない場合には、今すぐに遺言執行者の解任も検討すべきです。
親族が遺言執行者に就任している場合には、心理的負担も考慮して弁護士に解任手続きを任せた方が得策です。

[投稿日]: [投稿者]:永田町法律税務事務所

この記事が参考になった方はクリック!

同じカテゴリーの相続相談事例 [カテゴリー:遺産分割編]

2019-08-20[カテゴリー]:
【いったん口にした遺産分割の合意は有効か?】遺産分割協議の合意内容を撤回
父が亡くなり、姉と遺産分割協議を続けていました。 母はすでに亡くなっています。 亡父が姉弟仲良くと言っていたので、その意向に従い相続分に差が生じないように遺産分割をする意向で話し合ってきました。 特に母の相続の時に、私が姉に譲歩したので、その代わりに父の相続の時には私が実家不動産…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
一方的に突き付けられた遺産分割協議書。出戻りには権利なし?
実家の相続のことで相談です。 田舎から出てきて30年が経ちますが、父に続いて母が亡くなりました。 相続人は兄と私の2人ですが、兄が実家に立ち入らせてくれず、一方的に遺産分割協議書を作成して署名を要求してきました。 内容は私の取り分がごくわずかで、家屋敷や大部分の…[サブカテゴリー]:
O家の事例:家系図参考になった!9
2019-08-20[カテゴリー]:
【離婚直後の相続】離婚した場合は相続できない?財産分与の後に遺産分割協議
元夫が亡くなりました。 離婚をして半年後に亡くなったのですが、実際には離婚後も同居をしていた状況です。 離婚をすると相続人ではなくなることはわかるのですが、実態としては婚姻生活は続いているので、 私が相続人でなくなることに対しては納得いきません。 夫の財産は不動産が多いのですが、…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
【平行線ならどうなるか】不動産評価でもめている遺産分割
母が亡くなった相続で、兄との遺産分割調停中で長引いています。 ポイントはいくつかあったのですが、最終的には不動産評価についてもめています。 兄は不動産評価を低めに出しているようですが、客観的にはもっと高い価値があるはずの不動産になります。 自分ができるだけ多くの相続財産を相続して…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
相続財産を把握している唯一の相続人が、相続財産の一部を隠しており、その相続人によ…
先日、叔父が亡くなりました。 叔父は独身で、祖父母は既に他界しており、叔父の兄である私の父も5年前に他界しましたので、相続人は伯母と私の2人です。   叔父の初七日の法要を終えた後、伯母が私に対して、叔父の位牌を作るために祖父母の位牌を預かりたいと言っ…[サブカテゴリー]:
S家の事例:家系図参考になった!25

参考にしたい相続関連記事

2019-08-19
相続税の還付
相続税の還付相続税の還付 土地を相続した方必見!!払い過ぎた相続税が戻ってくる可能性があります。 相続税を払い過ぎているのに、そのことに気づいていない場合がありますので、…
2018-04-05
【国民的漫画で相続をわかりやすく解説したい】磯野家の相続
戸籍などの業務を担当する某区役所勤務の方から、うれしいお話を伺った。担当で拙著『磯野家の相続』(すばる舎)を机上に置き、参照いただいているとのこと。 https://sozoku.com/…
2019-08-10
Q12.なぜ相続で不動産が重要なのか
節税でも分け方でも話題になる。生前の相続対策としても重要 不動産会社が相続関連のセミナーを頻繁に開いている。不動産と相続はそこまで相性が良いのだろうか。なぜ不動産業者が相続セミナーを…
2019-08-19
認知症専門医との提携
認知症診断における専門機関との提携 遺言無効確認訴訟において、遺言能力の判断に重要な影響を及ぼすのが認知症診断です。認知症をはじめとする病変は科学的に捉えられてこそ、説得…
2017-11-17
3章 「分割しずらい財産」は遺産相続でモメる危険アリ
「分けられない」からモメる3章 「分割しずらい財産」は遺産相続でモメる危険アリ 遺産相続でモメるポイントとして、「分けられない財産」が挙げられます。 預貯金や現金…
2019-08-19
知識の解説
不動産相続トラブルのポイントや不動産相続に関する法律用語の解説を紹介しています。 相続における不動産の重要性 弁護士が扱う相続…
ページトップへ

カテゴリ別 相続相談一覧これまで弁護士に寄せられたカテゴリ別相続問題

遺 言
遺言無効を争う
遺留分を争う
  • 遺言無効
    確認訴訟
  • 遺留分
    減殺請求
  • 遺言執行者
    解任
だましうちで遺言を書かせる。財産の不正操作の常とう手段です。遺言無効確認の訴えや、遺留分減殺請求などにより、財産の不正操作と戦います。
遺産分割
財産の不正操作に
要注意!
  • 預金の
    無断引出
  • 名義の
    無断書換
預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を勝手に書き換える。財産の不正操作と徹底的に戦う覚悟がある方のお力になります。
不動産相続
評価や分け方で
モメる不動産相続
  • 評 価
    トラブル
  • 分 割
    トラブル
  • 不動産の
    不正操作
分けられない財産の典型である不動産。不動産の評価について相続人間でモメます。そもそも不動産が相続財産かどうかも問題になります。不動産を独り占めする財産の不正操作と最後まで戦います。
事業承継
同族会社の
内部紛争に勝つ!
  • 取締役の
    不正追及
  • 株主総会
    の形骸化
同族会社の内部紛争や支配権争いでお悩みの方のお手伝いをします。事業を営む方の相続問題は通常の相続以上に複雑です。会社の支配権を勝ちとり、事業を守り抜きます。
国際相続
国外財産があると
どうなるの?
  • 海外財産
  • 海外在住
  • 国際結婚
相続財産が海外にある場合、手続きが複雑になります。国内財産の分け方も絡む紛争を総合的に解決します。
相続税
節税対策の
ポイントを知りたい
  • 税務調査
  • 税務訴訟
  • 相続税の
    還付
生前にどれだけ詳細にシミュレーションすることができたかで、相続税対策は決まります。遺言内容にも影響しますので、多方面からの検討をする意味でも弁護士兼税理士にお任せ下さい。