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Q11.遺産相続で、不動産を共有分割してはならない理由[POSTED]:2019-08-05

共有者が増える。利用するのは1人なのでズレがいずれ問題に。全員合意が必要な売却できない。

不動産は共有で分割してはいけない

聞いたことがあるのかもしれないが、重要なことである。
共有してはいけない理由は、不動産特有のものではない。
共有物は貸したり、売却したりという行為ごとに、共有者の協議が必要になる。
共有持分の過半数があれば貸し出すことができるというが、協議をすることが前提になる。
あくまでも協議をした結果、共有持分の過半数で決するということである。

相続で問題になるのは、自社株式が相続財産になっている状態で、株主総会を開く必要がある場合である。
今までろくに株主総会など開催したことがなかったにもかかわらず、遺産分割でもめているので形式上の不備は免れなければならない。株主総会を開催することになるのだが、株主総会に先立って、相続財産中の株式を未分割で共有している相続人間で、議決権行使の協議をする必要がある。
法定相続分からすると結論は見えていても、共有者間で議決権行使に関する協議はしなければならない。

形だけであっても協議が必須ということになると、もめた末に共有で遺産分割した不動産について、仮に過半数の持分を持っていたとしても、管理行為についていちいち協議をするのが現実的ではない。

売却の際に、全員の合意が必要になるので、事実上、売却できない不動産が生まれてしまうということもある。
立地の良いマンションだったが、相続した共有者が8人もいて、共有者の中に外国在住の者がいた。
外国居住者は不動産売却の際にサイン証明などの手続きが必要になる。
なかなか連絡も取れないということで、売りにくい物件になっている。
共有者のうち何人かは不動産市況を考えて売却をしたいということであったが、手続がとん挫していて困っている。

共有しているということは、物件を部分的に支配していること。
ところが不動産の利用は部分的な利用にはなじまない。
交代制で荷物を部屋から持ち出して利用する、ということが考えられないのである。
不動産は生活と密接なので、共有者と一緒に生活をしない限り、他人の所有物を利用している状況が生まれる。
不動産を共有していてもおかしくない関係は本来、夫婦や同居の親子くらいになろうか。

同居していない共有者に対しては、利用料を支払う必要が生じる。
不思議なことに、本来は支払う必要のある利用料が、なぜか支払われないのが不動産である。
特に親族関係ではあまり利用料が支払われない。
親と同居している子供が家賃を家にいれても、不思議と共有者間での地代や賃料のやり取りは少ない。
かくして利用させてやった側の不満が爆発して、共有解消となる。

次の相続でさらに共有者は増える。
さらに共有者間の関係は薄くなるので、問題が起きやすくなる。
問題の先送りとしての共有相続はすべきではない。
特に不動産は価格が高く、価格変動が激しく機動的な売却活動が求められる。
一番、共有にすべきではない財産である。

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