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Q12.なぜ相続で不動産が重要なのか[POSTED]:2019-08-10
節税でも分け方でも話題になる。生前の相続対策としても重要
不動産会社が相続関連のセミナーを頻繁に開いている。
不動産と相続はそこまで相性が良いのだろうか。
なぜ不動産業者が相続セミナーを開催するのだろうか。
不動産は相続において、特殊な地位を占めている。
通常の財産は相続税における評価額といわゆる時価との間にずれはない。
しかし不動産は、土地については路線価価格、建物については固定資産税評価額で、それぞれ評価する。
結果、いわゆる時価よりも安く評価をされる。
不動産が相続税対策になるというのは、いわゆる時価よりも相続税評価額が低くなることを利用できるのが理由である。 土地ならば更地で約2割の評価減が得られる。
更地を人に貸すとさらに約3、4割の評価減が得られるが、これは土地を貸すと借地権が発生するためである。
借地権と借地権の負担のついた土地の価値を足すと、更地の評価額になる。
郊外よりも中心部のほうが、住宅地よりも商業地の方が、借地権の評価がそれぞれ高く、更地からの評価減も8割程度まで高まる。
ところが人に土地を貸すとなかなか返ってこない。
数十年単位で貸し出すことになるうえ、最終的には借地人が底地を買い取る決着もあり得る。
そこで更地に自分で建物を建てて、建物を人に貸すほうが、相続税対策としては一般的である。
貸家建付地というが、一定の評価減を受けられる。
地主にお金を貸してアパートを建てさせる不動産業者がセミナーを開いている。
不動産が重要なのは相続税対策の中心だからというだけではない。
遺産分割でも不動産は重要である。
弁護士が扱う遺産分割事件において、不動産が関係しない案件はない。
不動産を含む遺産分割がなかなか成立せず、不動産が分けにくい財産である証拠である。
不動産が共有にしてはいけない財産であることはすでに指摘済みだが、共有にしてはいけないからこそ、単独の相続人が現物分割をする代償分割になる。
代償分割では、代償金としていくらを払うかの金銭評価が問題になる。
しかも不動産の評価は定量的な問題だけではない。
機械的な要素以外に、例えば反社会的勢力の共有者や借主などがいた場合に、どの程度の評価減なのかが問題になる。
不動産評価が遺産分割において問題になる場合、町の不動産屋に依頼した評価書が出てくるが、お互いに調整した数字を出すので、最終的には裁判所が指定した不動産鑑定士の評価に従うことになる。
鑑定結果に従う旨の同意をとった後に、不動産鑑定士が評価をする。
費用は安くはないが、法定相続分の割合で相続人が負担することになる。
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