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Q2.相続財産のうち、最も額が大きい財産は何か[POSTED]:2019-06-20

不動産。現金の場合はまれ。

相続財産のうち、不動産が占める割合は50%を超えていた

統計データをとるタイミングにもよって異なり、地価が高いバブル期はもっと高かった。
たいていの方は不動産をたくさん持っているというよりも、所有不動産が1つかせいぜい2つである。
3つ以上持っている方は地主と呼ばれる方である。
大きな財産が1つないし2つ。
現金はあまりないというのがほとんどのパターンである。

不動産は価値が高いだけに気を付けるべきポイントがある

分け方。
不動産を分けることは本当に難しい。
よく言われるように共有分割はおススメできない。
共有持分が次の相続で問題になり、共有者が増えていく一方だからである。
不動産は誰かが必ず単独所有で相続しないといけないものなのである。
にもかかわらず財産的価値が高いために、不動産を相続する人間が代償金を用意せざるを得ない。
ところがなかなか現金を持っていないために代償分割ができない。
相続財産全体の構成も不動産がほとんどを占めていると、他の財産がないだけに、平等な分割がしにくいという事情がある。
不動産特有の事情もある。
不動産は財産の中では個性が極めて強い財産である。
同じ不動産は2つとない。
愛着もある。
住んでいる方にとっては生活の一部になっている。
とすると不動産を相続する人間はおのずと決まっている。
実家から出た相続人が実家の一軒家を相続するパターンはあまりない。
むしろ親と同居していた長男が相続するのが一般的である。
となると、分け方に制約があるので、代償金を用意すべき人間も最初から決まってくる。
ほかの相続人であれば代償金が用意できたにもかかわらず、不動産を相続する相続人に限って現金が用意できないということはある。
不動産を相続する相続人が代償金の用意をできないと、不動産の分割が難しいのである。

分けられない不動産をどうするか。
換価分割としていったん現金に換金して、現金を分け合う方法がある。
ただしいつ売れるともわからない不動産を売りに出しても展望が開けない。
特に市場が下がり気味の時は販売活動がじり貧になってしまう。
相続税の納税期限が迫っていて、納税資金として売却代金をあてにしている場合は問題になる。
結果的に売り急いで売却することになる。

解決方法は貸せる不動産を

大きな不動産がポツンとあり、その他は現金だけという場合、分けにくいことは分かった。
どうすればいいのか。
不動産を売却して現金に換えることも検討してよいが、そうすると不動産特有の節税効果が得られない。
解決方法の1つとしては、貸せる不動産を持ち、賃料収入を得ることである。
賃料収入は現金を手にすることになり、資産構成としても現預金が増える。
財産構成として大きな財産以外に少額の現金ということにはならない。

遺産分割時における評価。
遺産分割において、不動産は評価額が分かれる。
遺産分割において不動産はそもそもいくらの財産なのかで問題になる。
遺産分割は遺産分割が成立した時の時価で評価するが、換価分割をして実際に売却した場合は価格がしっかり出るものの、現物分割や代償分割によって分割する場合、つまり実際に不動産を売却しない場合は不動産の時価はシミュレーションでしかない。
実際に売買は行われないのだから、時価を確定的に出すことはできない。
不動産評価は街の不動産業者にお願いして査定をしてもらうこともできるが、評価は分かれることになる。
最終的には不動産鑑定にかけることになるが、安くない費用が掛かってしまうので、相続人が二の足を踏むこともある。

田舎の不動産。
一番困るのが地方都市の不動産である。
たまにあるのが周りが田んぼだらけであるにもかかわらず、ポツンと豪華な家が建っているケース。
仕様も豪華で何億もかけて作ったものもある。
不動産は売るまでに時間がかかる。
ただでさえ時間がかかるのだが、買い手は目的をもって探していることが多く、この場所でこれだけの広さの物件をこの予算でさがすというのが一般的である。
何も目的がなく行き当たりばったりで出会った物件を衝動買いするのは珍しいといえよう。
とすれば、場所もどこでもよいとして探しているわけではないので、ある程度場所にふさわしい物件でなければ決まらない。
田舎町に何億もする物件が立っていたとしてもなかなか売れない。
何億もお金を出せる人は、それなりの都心の物件を探すのがふつうである。
プールがついていたとしても、別荘地でそれなりの物件が立ち並ぶ場所であればともかくとして、自分の家だけがプール付きというのではなかなか売れない。
一番困ったのは離島の土地だった。
不動産は買い手が1人見つかればそれでよい。
何人も見つける必要はない。
としても、売買市場が成立しないようなニッチな物件である場合、そのたった1人を見つけるまでに時間がかかる。
田舎の物件は要注意なのである。

相続税額とのギャップ

不動産が多くを占める相続では相続税評価額と遺産分割における時価とのギャップにも注意が必要である。
日本の富裕層は概して地主が多いのだが、それは不動産を持つことが相続税制において優遇されていることによる。
不動産については現金を持っている場合に比べて、相続税額が低く評価されることになる。
不動産については相続税において特例などがあり、他の財産を相続する場合と比べて有利になる。

特例の種類。納税の面で有利になりながら、遺産分割の点でも有利になりかねない面がある。
1つは遺産分割協議において、相続税評価額がそのまま通ってしまい、時価で計算すべきところが換価されてしまう可能性があること。
もう1つは、特例を使って相続税が軽減されていながら、遺産分割協議ではその点を考慮しない可能性があること。
相続税の納税であれ、遺産分割協議で相手に渡す代償金であれ、お金としては同じ価値なのだから、数字にはこだわった方がよい。しかし実際には、普段は見慣れない大きな数字になっている点、相続税には無頓着な反面、遺産分割での小さな数字はこだわる傾向がある点などから、あまり気にしていない。
納税額を差し引いた個別の取り分をネットでみないと、遺産分割で不動産を取得した相続人が相続税においても優遇されることにも鳴りかねない。

では不動産を相続で取得する相続人が一番得をするのかというと、必ずしも絶対ではない。
どの財産を取得するべきかという点については、遺産分割において取得した財産の換金可能性なども含めて評価する必要がある。
不動産を取得すればよいのかというと、換金しやすさなどでそうではない場合もある。
不動産で困るのは放棄ができないこと。
固定資産税がかかるだけの不動産であれば、捨ててしまいたい。
流動性がない不動産であれば処分したい。
田畑を相続したがもういらない。
そんなときでも、不動産の所有権を放棄することは現行法上、できない。
不動産は一般的に、処分に時間もかかるので、慎重に相続する必要がある。

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