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Q33.遺言を書かせたいのだが[POSTED]:2019-11-25
遺言者本人が自らの意志で書く遺言などほぼない。同居の長男パターン。相続税などを口実に説得するケース。公正証書の方が書かせやすかったが、自筆証書遺言も改正により利用しやすく。
親に遺言を書かせたいのだがという相談は多い
もちろん、他人の財産を処分する遺言は無効なので、最終的に遺言作成者本人の意向を確認することになる。
ところが会ってみると、本人はあまり自分の強い意向がないようである。
本人が明確に反対しているわけでもない。
かといって、本人がぜひその意向で進めたいというわけでもない。
実態は長男がイニシアティブをとっているケースは多い。
最終的に本人の意向に基づくと判断できなければ業務として受任することはないが、その判断は専門家によって異なる。
最終的に本人の追認的同意があったということであれば、受任する専門家が多いのではないか。
代筆や代印が日常的に認められている法律の世界では、意思確認がしっかりとできている限り、実質的な意思決定を他人が関与していても、本人の最終的な同意がある限り、違和感がないことも多い。
公正証書遺言の作成現場の実情は、遺言作成者本人が関与せずにことが進み、最終的に遺言作成者の追認をもらう運用がまかり通っている。
なかには、遺言作成当日まで、公証人が出張に来て遺言作成をすることを遺言作成者が全く承知していないケースもある。
書かされた遺言は相続発生後に問題になることもあるが、遺言作成者本人の最終的な署名があれば、他人の関与があるという一事において遺言が無効になるということはない(遺言能力などに問題がない限り)。
実務の現状はこのようになっているが、やはりトラブルを避けるという意味でも理想的には、遺言作成者本人がより積極的に遺言作成に関与すべきである。
それには高齢者が遺言作成の必要性を感じる必要性がある。
本来の目的が遺産分割やモメ対策、遺留分封じであったとしても、相続税対策の必要性を前面に押し出した場合、高齢者も動くことがある。
もめることは自分の家に限ってあるはずはない。
もめたとしても最終的にどの程度困るのかは想定できないので、たいしたことがないと楽観視している。
ところが相続税の課税については、確実にこれだけの金額がかかると言われば、数字で実感できる。
納税義務も生じる以上、相続税の問題は確実に発生するものである。
もめることはないとタカをくくっていても、多額の相続税がかかってしまうとなると、さすがに高齢者の方も積極的に考え始める。
遺言作成や遺産分割の話はそこまで迅速に対応する必要性を感じず、放置をしがちな方でも、相続税の納税期限は守っていただける。
また遺言というと、もっぱら公正証書遺言が重視されてきた実務の状況も見直されてもよい。
公正証書遺言は遺言作成者本人の関与が薄くても済むうえに、遺言の有効性に関する証明力は高い。
自筆の署名すらも状況によっては不要になる。
遺言作成直前まで知らされずに成り行きで作成されることもある。
反面、自筆証書遺言は徹頭徹尾、自筆で書く必要がある。
面倒だが、まぎれもなく本人が関与して作成されるものである。
自筆証書については法改正で、財産目録に関してワープロ打ちが認められ、法務局で保管できるようになった。
法律面で、自筆証書遺言が利用しやすくなっている。
自筆証書遺言を作成するにあたって、形式面の厳格性についての啓もうが広がれば、コスト的にも公正証書遺言に比べて有利である以上、作成者が増えていくだろう。
今後は自筆証書が注目されていく可能性があるが、公正証書遺言ではないがゆえに遺言無効となるリスクはある。
医療機関による診断書の利用などと併せた自筆証書遺言を積極的に考えていく必要がある。
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