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Q59.勝手に引き出した形跡がある[POSTED]:2020-02-16
銀行預金を調査
勝手に銀行預金を引き下ろされた。
そんな相談を受けることは多い。
預金口座の引き落としの問題についてはどのように対応するべきなのか。
銀行預金の残高を調べていくと、相続発生後にもかかわらず亡くなった方の預金口座が50万円ずつ引き下ろされている。
これは明らかに本人が引き下ろしたものではない。
亡くなっているので本人が引き下ろしたという言い訳は通用しない。
この場合は、引き出した人間の特定をすることはそこまで難しくはないし、引き出しを特定した後に相続財産に対する持ち戻しをさせることも問題はないだろう。
銀行の預金口座は亡くなった方のものについて凍結をするのだが、銀行がそもそも人の死亡について把握していないので、このようなことが起こる。
自治体の死亡届と銀行預金については紐づけられていないので、銀行が預金口座の名義人の死亡を把握することは困難である。
引き出す人間も窓口に行ってしまうと口座が凍結されることを知っているので、 ATM から下ろしていく。
だからこそ50万円ずつの引き出しが確認できるのだ。
相続発生後の口座の引き落としについては解決することがそこまで難しくない。
それに対して相続発生前の口座の引き落としはなかなか難しい問題がある。
まず口座を誰が管理していたのかをはっきりさせる必要がある。
亡くなった被相続人が自分で管理していたものであれば、自分で引き下ろしたわけだから何に使おうが問題は生じない。
もちろん、特定の相続人に対して生前贈与をしていたということになれば、特別受益の問題が生じる。
問題は口座の管理を、亡くなった被相続人ではなく、同居の相続人などが管理していた場合である。
この場合は、 口座からの引き落とし行為自体は被相続人自身がやったわけではない。
物理的に被相続人自身が体を動かして口座から引き下ろしたわけではなく、この点ははっきりしている。
ところが、引き下ろし行為自体を同居の相続人が担当したことが、直ちに無断引き出しにつながるということにはならない。
被相続人に依頼をされて、口座からの引き落としを同居の相続人がやったということもある。
この依頼は、 特定の日の特定の引き出し行為について、指示を受けた 場合もある。
それだけではなく、包括的に財産の管理の委任を受けている場合もある。
どちらの場合も、親子間なので明確な委任状を取っているわけではなく、 書面による医療行為が証明されなくても、引き出し行為自体が無断で行われたということにはならない。
では引き出し行為自体が被相続人の依頼を受けなかった場合は、 そのことだけでたら家に無断で引き出されたと判断できるのだろうか。
この場合も、結果的に被相続人のために使われたということになれば、引き出し行為を無断で行ったとして責任追及することはできない。
被相続人が元気な時はいいが、介護などが発生した場合は、介護されていた期間に関して財産を自分で直接管理していないことも多い。
この時にこそ、無断で口座を動かした、無断で不動産の登記を移転した、などという問題が起きる。
不幸な争いを身内でしないためにも、介護の際に親の財産を管理する場合はしっかり記録をつけるべきであろう。
領収書を取っておく。
引き出した現金の処理について記録をつける。
逆に介護をしている人間が、お金を立て替えることもあるが、この場合もしっかりと記録につけておかないと、後々清算が出来なくなってしまう。
預金の引き出しについては、かなり細かく調査をしても、結果的に疑いが晴れることもある。
介護については、 実際にお金がかかるのも確かである。
介護にかかる費用が決して安くないこと、これは介護をした人間にしかわからないということも事実だ。
介護をしてない人間にとってみると、なぜそのような費用がかかったのかわからないということもあるだろう。
その意味でもやはり、介護にあたってはお金の記録が必要になってくる。
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