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Q64.音信不通の相続人がいる場合にはどうすべきか[POSTED]:2020-03-03

遺言がないと遺産分割ができない

音信不通の相続人がいることはそこまで珍しくない

音信不通と言っても色々なパターンがある。
文字通り音信不通になったパターンもあれば、もともとコミュニケーションを取っていなかった人間がたまさかの巡り合わせで相続人になっているパターンもある。

文字通り音信不通になったパターンというのは、通常は蒸発などによって生き別れになっている相続人がいる場合である。
生きているのかどうなのかすらわからないケースである。
頻繁にあるというわけではないが、ないわけではない。
一定の頻度で相談事例に登るパターンである。
この場合、音信不通になったままだと遺産分割協議ができないので、失踪宣告という手続きをとる。
7年間の時間が経過して初めて死亡したものとみなされるので、遺産分割を直ちにすることができない。

また生き別れになってると言っても、連絡が取ろうと思えば取れるが実際には取りづらいというパターンもある。
家族仲が悪い場合である。
親子仲が良かったのであるが、子供が結婚する際に親が反対をした。
結局は配偶者を選択し、親から離れてそのままになっているケース。
結婚を機に家族が不仲になっている家庭は多いようである 。
特にそれまでの親子仲が今まで良ければ良いほど、その反動で、また嫁や婿を選択したことに対しての失望感からか、親子間がもめるようである。
他にも会社を経営している家族が、経営上の問題で対立をし、子供が顧客を奪って家を出るなどの事例がよくある。
この場合も、全員合意で遺産分割調停が出来なくなってしまうパターンである。

次に 配偶者の連れ子を養子にした場合。
離婚経験のある女性と結婚をした。
女性に連れ子がいた場合、連れ子との間で養子縁組をすることがある。
不幸なことにこの女性と離婚をしてしまった。
とするとその後はこの養子と連絡をすることがなかなかなくなってしまう。
最終的に相続が発生した場合には、相続人であるこの養子に対して連絡をし、全員合意の遺産分割協議をすることになる。
当然に連絡をする相続人にとってはこの養子は初対面で、話したこともないという間柄になる。
コミュニケーションを取っていなかった関係の相続人同士が、たまさかの巡り合わせで相続人になっている。
この場合も生き別れになっている相続人がいるパターンである。

前妻の子も同様に、元々連絡を取っていない相続人同士が、事情により遺産分割協議をしなければならなくなるパターンである。
離婚経験がある男性にとっては、気をつけなければならないパターンである。
前妻の子の親権は一般的に前妻が持つことになる。
養育費も払い続け前妻の子供が成人後はあまり連絡を取ることもないと言う親子も珍しくない。
男性が再婚した場合、むしろ前妻の子と連絡を取り続けることはまれなのではないか。
男性が亡くなった後に、男性の現在の家庭における妻や子供は、共同相続人である前妻の子供に対し連絡をすることになる。
やはり全員合意が必須の遺産分割協議をすることになる。
このケースも、たまさかな巡り合わせで相続人同士になっているパターンである。

何のケースも、遺産分割協議を全員が合意をするにあたって、コミュニケーションがしづらい間柄である以上、難航が予想される。
弁護士がお互いについて進めていくことが一般的である事例である。

音信不通の相続人がいる、音信不通でないまでも日頃のコミュニケーションが全くない相続人同士が遺産分割協議で話し合わなければいけない事例においては、遺言作成が事前対策として勧められる。
遺言を作成しておけば、ひとまずは遺言の内容通りに遺産が分割される。

もちろん遺言があるからといって相続争いが完全に回避できるわけではない。
遺留分減殺請求もある。
遺言無効確認訴訟もある。
それ以外に 特別受益や寄与分の主張も予想される。
もっとも遺言があれば、ひとまずの全員合意の遺産分割協議は回避できる。
何はともあれ遺言作成を検討したい。

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