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Q76.複数の相続人が1人の弁護士を代理人とすることはできるか[POSTED]:2020-04-07

できるしそのほうが効率的

昔、弁護士が全くいないかいても一人しかいない地域をゼロワン地域と言った

弁護士会はゼロワン地域の解消を提唱し、弁護士の増加とともにゼロワン地域は減っていった。
ゼロワン地域は現在、存在しない。
どうしてゼロワン地域は存在してはいけないのだろうか。

まず弁護士が0の地域は、司法サービスが行き届いていないということになり、そのこと自体が問題になるということはわかる。
ただ一人しか弁護士がいないゼロワンのワンの地域はどうしてまずいのだろうか。
弁護士が一人しかいないとこういうことがあったそうだ。

午前中ある男性から離婚の相談が入っている。
そして同じ日の午後、女性から離婚の相談が入った。
聞いてみると、この男性と女性は夫婦であったという笑い話である。
弁護士が一人しかいない地域では、その地域の住民が弁護士を依頼する場合、同じ弁護士に頼まざるを得ない。
他には選択肢がないのだ。

夫婦が同じ弁護士を依頼するということは、同じ弁護士が対立当事者双方を代理することになり、 双方代理として禁止されている。
すべてが弁護士のさじ加減で動いてしまうため、一方の利益を害してしまうからである。

長くなったが相続においては、弁護士がたくさんいる地域においても、同じ弁護士に相続人複数が依頼することもある。
母と娘が息子と対立している場合、母と娘は同じ弁護士に頼むことがむしろ普通であり、一緒に動くことになんら支障がない。
むしろ違う弁護士に頼んだ方が、 連携をとったり、打ち合わせをするにも不便である。
実際にこの母と娘は利害が対立することもなく、 双方代理で問題が生じない。
相続においては、 複数の依頼者を一人の代理人が代理することはむしろ普通のことである。

正しい形式的には双方代理になってしまうので、遺産分割調停の成立にあたっては、儀式的ではあるが、双方代理でも問題がないという書面を提出することもある。
複数の依頼者のうち一部の者が実際に裁判所に出頭し、 調停成立にあたって直接調書に署名をするという扱いがなされることもある。

実際に共同相続人間で争う場合は、特定の相続人が他の相続人全員を相手にし争うということがよくある。
とすると他の相続人全員にとってみるとなんらに利害関係が対立していないことがほとんどである。
そのことを再確認が 取れれば、むしろ同じ代理人の弁護士が複数の相続人を代理することは、差し支えがないことであり、 合理的なことですらある。

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  • 2020-04-07
  • [CATEGORY]: 相続Q&A
  • [TAG]:
  • [AUTHOR]:遺産相続の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所

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