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Q79.ルーズでレスが遅い当事者が多数いる。どうしたらいいか[POSTED]:2020-04-16
代償分割を活用する
相続手続きは当事者が多数いるため、ただでさえ時間がかかる
銀行に銀行口座の解約を申し出る、証券会社に証券口座の解約を申し出るなど、そのたびに委任状が必要になる。
金融機関特有の委任状が求められることもあります。また、担当者が不慣れなときなど、必要書類がころころと変わることもある。
いずれも、仲が良く、普段からコミュニケーションをとっている家族同士であれば問題はないかもしれないが、弁護士事務所に来ている時点で、少なくとも潜在的には問題を抱えている方が多いと考えた方がいい。
特に多いのが代襲相続が生じているケース。
この場合、相続人間の距離は疎遠になりがちで、会ったこともない他人に対していきなり連絡をとるので、振り込め詐欺の類ではないかと疑われ、非礼な罵声を浴びせられて、最初の段階で喧嘩をしてしまっている遠縁の親戚同士のパターンもある。
遺産分割には実印や印鑑証明が必要なことを説明しても、「信用できない人間から要求されておいそれと渡せるものではない」と言われたり、何に使うのかを不審そうにきかれ、「目的以外使用をしない旨の誓約書を作成しほしい」と言われることが想定される。
この場合、もちろん「必要な手続きなので」となだめながらお願いをするしかないが、金融機関から必要書類が追加されてお願いをし直していると、そのうち没交渉になり、遺産分割は暗礁に乗り上げる。
高齢者相手の手続になるとお願いするのが難しく、字を書くのも困難な方が相続人の中にいる。
「簡単にお願いできるわけではないのです」「振り込め詐欺への警戒から書面の説明をしつこく求められました」といわれることもしばしば。
さらに、問合せがきた場面を想定しよう。
「住所表記で漢用数字を用いている住民票と異なる算用数字を用いて表記の仕方をしたが、金融機関は対応してくれるのか」といった相談が来たとする。
こうした場合、もちろん、住民票と同じ表記に改めてもらえればよいのだが、必ず、訂正をする必要はあるか金融機関に確認した方がよい。
お年寄りにとっては、2行の住所を自筆で記入する事すら大変である。しかし、こうした個別的な対応では、方々に手配しているため、必ずどこかで事故が発生する。
「予め鉛筆で下書きをしてお願いをしても、それでも間違えられてしまう」と愚痴をこぼしている相談者もいる。
最初に遺産分割の手続を済ませた相続人から催促が来ることも十分、想定される。
「お金が入ってくるのはいったいいつなのか」といった内容が多いが、金融機関の手続がどこまで進んでいるかを逐一チェックするのは困難で、「銀行内部の問題なのでリアルタイムではわからないが、2週間ほどかかると担当者が言っていたので、1月以上はかかると思っておいた方がよい」と月単位で比較的長めに見通しを伝えておくのが無難である。
自分のせいではないにもかかわらず、手続が遅々として進まないことを非難されるのは面白いものではない。
段取りに長けた指揮者の役割を担う人間がいないと、遺産分割を進めるのは難しい。
法知識を持った指揮者である。
遺産分割協議書の作成で間違いがあると、手続は進まない。
微妙な文言の違いなのだが、やり直しになる。
果たしてやり直しにおうじてくれるだろうか。
遺産分割を成立させるのにあれだけ多くの時間が必要だった。
ここまで来て合意が撤回されてはたまらない。
合意内容を実行することがここまで大変であるとは理解している方は少数派である。
よる遺産分割協議書の作成である。
預金など手続きが必要な財産を特定の相続人1人が取得することにし、その1人がほかの相続人に対して代償金を分配する内容である。
代償分割は通常、不動産などの分けられない財産を特定の相続人が相続した場合に、他の相続人との差額を調整する遺産分割の方法であるが、これを預金債権等の本来は法定分で相続することが当然の財産に対しても応用するのである。
こうすることで、金融機関等に対する手続きは相続する特定の相続人が単独で行うことができるので、スピード解決が期待できる。
もっとも、相互不信があまりにも強いと、預金を引き下ろした後に横領されるのではないかなどと疑われ、遺産分割協議書への押印をなかなかしてもらえないこともありうる。
「だからこそ弁護士に間に入ってもらう」として、対立当事者に説明をするのもよい。
弁護士に依頼しておくと、信頼してもらえたり、相手も弁護士を立てるので、スムーズに遺産分割協議書を作成できるはずである。
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