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相続税だけでなく贈与税も改正された

相続税と贈与税は「相続税法」という一つの法律の中に定められています。
もし贈与税がなかったら、どうなるでしょうか。
生きているうちに配偶者や子供に財産をすべて贈与して相続財産をゼロにしてしまえば、相続税は課税されません。
そうした相続税逃れを防ぐために設けられたのが贈与税なのです。
平成25年度税制改正では相続税の増税に合わせて、贈与税も改正されました。
相続税の税率構造が変わることに対応して、贈与税の税率構造も見直されました。この改正は平成27年1月1日以後の贈与から適用されました。

相続税増税の理由

日本の個人金融資産1400兆円の60％は、60歳以上の高齢者が保有しているといわれています。
しかし高齢世代の資産は金融機関などに眠ったままで、個人消費に回らず、なかなか景気浮揚につながらない。
そこで、本当にお金が必要な若い世代への資産移転を促す目的もあって、相続税増税は検討されてきました。
相続税が高くなれば、財産を残すよりも「使おう」「贈与しよう」という気持ちに傾きます。
その上、贈与税が安くなれば、世代間の資産移転はさらに進みやすくなる。
そうした狙いから、今回の贈与税改正では、20歳以上の子供や孫が直系尊属（父母や祖父母）から贈与を受けた財産については、贈与税の税率を緩和する特例措置が設けられています。
また、大きな金額をまとめて贈与可能な相続時精算課税制度の適用対象者が、孫世代まで拡大され、直系尊属（子供、孫、ひ孫）に教育資金を贈与する場合に1500万円まで非課税になる「教育資金の一括贈与にかかわる非課税措置」も時限的ですが創設されました。
相続税と贈与税の改正で、贈与しやすい環境が整ってきたといえるでしょう。

贈与税が安くなるケースも

贈与税が安くなる事例としては以下のようなものがあります。
住宅資金や車の購入資金など、親が子供に大きな金額を贈与するケースです。
たとえば父親から子どもたちに500万円を贈与したケースで考えてみましょう。
子どもが成人している場合、直系尊属から贈与を受けた場合の税率の特例が適用できます。
改正前では贈与額の500万円から110万円の基礎控除を差し引いた390万円に、贈与税の20％がかかり、そこから25万円を控除すると贈与税額が算出されました。
（500万円－110万円）×20％－25万円＝53万円
これが平成27年1月1日以降の贈与から贈与税額は次のようになりました。
（500万円－110万円）×15％－10万円＝48万5000円
つまり、4万5000円、贈与税が安くなります。
この特例は祖父から孫への贈与にも適用することができます。
しかし、孫が成人していない場合、残念ながら税率の特例は使えません。

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• 2019-03-09
• [CATEGORY]： 相続税編
• [TAG]：教育資金の一括贈与,相続時精算課税制度,相続税,生前贈与,贈与税
• [AUTHOR]：遺産相続の弁護士･税理士 永田町法律税務事務所