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【贈与税がかからない贈与もあるのか】贈与税がかかるケースとは[POSTED]:2018-11-27
生活費の援助には贈与税がかからない
生活費の援助としてなされた場合は、そもそも贈与税の対象になりません。
子どもや孫の教育費の贈与も同様です。
信託銀行などが教育資金の一括贈与に関する商品を売り出していますが、教育資金はもともと贈与税を支払わずに渡せるものですから、贈与税回避が目的であれば、子どもや孫に教育費を渡す際にわざわざ教育資金の一括贈与の制度を利用する必要はありません。
「社会通念上相当」といえるかがポイント
では、家族間の金銭のやり取りについてどのような場合に贈与税がかかるのでしょうか。
贈与税は、個人から財産をもらった時にかかる税金です。
ちなみに、会社などの法人から財産をもらったときには贈与税はかかりません。
全く税金を支払わなくてもよいかというと、そうではありません。
贈与税ではなく所得税がかかります。
例えば特定の友人にプレゼントする場合、贈与税の基礎控除額である110万円以下であれば、もちろん贈与税はかかりません。
相続税法基本通達では、「法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする」と規定されていますから、友人間のプレゼント程度であれば、そもそも贈与税の問題にはならないのです。
お世話になった先輩を食事に招待するというケースや、上司が部下を飲みに誘うケースであっても、社会通念上相当といえる範囲であれば贈与税はかかりません。
この「社会通念上相当」という基準が問題で、何が「社会通念上相当」であるのかについて明確な線引きはありません。
時代によっても判断が変化するでしょうし、贈与をする人と贈与を受けた人の関係性や立場によっても異なるでしょう。
抽象的な表現になってしまいますが、一般常識的な範囲で考えられる目的かつ一般常識的な範囲で考えられる金額であれば、「社会通念上相当」と認められることになると考えます。
贈与税の非課税財産
贈与税の課税対象としては、生活費、教育費以外を目的とした贈与があげられます。
また、生活費、教育費を目的とした贈与であったとしても、「社会通念上適当」ではないものは贈与税の課税対象となります。
これらの贈与がなぜ課税対象とされるのでしょうか。
相続税法では、贈与税の非課税財産が定められています(相続税法21条の3)。
先ほど記載した法人からの贈与により取得した財産のほか、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものなどは非課税財産であると規定されています。
つまり、扶養義務者から生活費や教育費のために渡された通常必要な財産については、贈与税がかからないということです。
扶養義務者の範囲は民法で定められており、直系血族および兄弟姉妹はお互いに扶養する義務があるとされています(民法877条)。
直系血族である両親や祖父母は扶養義務者に該当することになります。
相続税基本通達に基づいて判断
生活費や教育費のために渡された通常必要な財産とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
相続税基本通達にそれぞれの定義が記載されています。
まず「生活費」ですが、相続税基本通達では、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く)をいい、治療費、養育費その他これらに準ずるものを含むものとされています。
また「教育費」については、被扶養者の教育上通常必要と認められる学費、教材費、文具費などといい、義務教育費に限らないものとされています。
そして「通常必要と認められるもの」については、被扶養者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいうとされています。
「社会通念上適当」とされている以上、解釈の余地があることになります。
また、もらう側の需要とあげる側の資力を考慮して判断されるのですから、各家庭によって異なる判断になることが考えられます。
つまり、日常生活に必要な生活費や教育上必要な費用のうち、社会通念上適当と認められるものに関する扶養義務者間のお金のやり取りについては、贈与税の課税対象外であるということになります。
ちなみに、こうした生活の援助としてのお金のやり取りには贈与税はかかりませんが、遺産相続の際に特別受益として相続人間で問題となり得ます。
一括して生活費や教育費を贈与すると贈与税の対象に
そうすると、これら以外のお金のやり取りについては贈与税の課税対象ということになります。
すなわち、生活費、教育費以外を目的とした贈与は贈与税の課税対象となるのです。
また、生活費、教育費を目的とした贈与であったとしても、「社会通念上適当」ではないものは贈与税の課税対象となるということです。
このように、扶養義務者間でやり取りされる生活費や学費、教材費、文具費などは贈与税がかからないのですが、生活費や教育費として、必要な都度、直接これらに充てるためのものに限られます。
生活費や教育費の名目でも、それを将来の支出に備えてまとめて贈与した場合は、贈与税の対象となってしまいます。
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