相続人間での意見や感情の対立が激しく、調停での話し合いが難航し、まとまりそうにない。

相続人間での意見や感情の対立が激しく、調停での話し合いが難航し、まとまりそうにない。

[投稿日]: [投稿者]:
[サブカテゴリ]:
相続人間での意見や感情の対立が激しく、調停での話し合いが難航し、まとまりそうにない。

相続人間での意見や感情の対立が激しく、調停での話し合いが難航し、まとまりそうにない。

相談者からの相談内容

父の相続に関してトラブルを抱えています。 一昨年末に父が他界し、相続人は母、兄、私の3人です。 相続財産は、港区の実家不動産と預貯金約1億円です。 実家の土地は200坪ほどあるのですが、家は築50年を超えており、かなり老朽化しています。 業者に見積もりを出してもらったところ、修繕には500万円以上かかると言われたそうです。庭も荒れ放題なので、近隣住人から苦情が出ているようです。 母は足を悪くしてから介護施設に入所しており、実家には独身の兄が1人で住んでいましたが、今は都内のマンションに住んでいます。 私は結婚後、地方都市に住んでいます。   預貯金については、法定相続分とおりに分割することで合意する予定なのですが、実家不動産をどのように分割するかでもめています。 兄が不動産を相続したいと主張したので、私としては代償金を支払ってほしいと言ったところ、お金は一切支払いたくないと言い張っています。 兄を説得しようと試みたのですが、話し合いには一切応じないため、調停を申立てました。 ところが、調停においても兄は一歩も譲らず、今後どのように進めていけばよいのか悩んでいます。 このままでは調停で解決しないので、審判に移行した方がよいのでしょうか。 また、実家の修繕をする場合、その費用は誰が負担するのでしょうか。   もともとは両親がしっかりと管理してこなかったことが老朽化の原因ともいえますので、母に全額負担してもらうことはできるのでしょうか。 今回の相続問題で、私は精神的にも肉体的にも疲れ切っています。
弁護士からの
一言アドバイス
「学ぶ」コーナーでまずは勉強 頃合を見計らって弁護士に依頼 状況によって弁護士に依頼 至急弁護士に依頼することが望ましい 今すぐ弁護士に依頼することが望ましい
今すぐ弁護士度
簡単に解決できる見込み やや簡単に解決できる見込み 解決できる見込みあり 解決するのがやや難しい 解決するのが難しい
解決難易度

すでに調停手続きを進めていらっしゃるようですが、お母様やお兄様との関係もこじれてしまっているようですね。

調停を不調と判断して審判に移行させるかどうかは、裁判官及び調停委員の判断によります。

調停不調と判断されるためには、これ以上話し合いを続けても合意を形成できる見込みがないことが必要になります。ですから、審判での解決を望む場合には、調停委員に対して、合意を形成できる見込みがないことを伝えることが必要です。

前回までの調停で、ご相談者は代償分割をご希望されていますが、お兄様はこれに一切応じようとしていません。

さらに、親族間での意見及び感情の対立が激しく、本件不動産を共有し続けることは現実的には困難です。

次回調停の際、調停委員に対し、以上の点を主張して遺産分割について合意することは難しいと訴えてみることをおすすめします。

修繕費用の点ですが、共有不動産の修繕は、共有物の「保存行為」にあたります。

「保存行為」のために支出した費用は、共有持分に応じて各共有者が負担します。

遺産分割が完了してない本件では、ご相談者が1/4、お母様が1/2、お兄様が1/4という共有持分の割合で本件不動産を共有しています。

修繕費用を支出した場合、その費用を上記の割合で負担することになります。

なお、遺産分割調停のなかで、共有持分と異なる割合で修繕費用を負担するという合意をすることも可能です。

現在の共有状態のままで、本件不動産について何かしらの事故が発生した場合、前述した割合に応じて損害を賠償しなければなりません。

老朽化した本件不動産について、ご相談者がお母様に対し責任を問うとしても、ご相談者は既に本件不動産の共有者の一人ですから、ご相談者ご自身も本件不動産に関する責任を負担しなければなりません。

それでもお母様に何らかの責任を負ってほしいという場合、これまで十分に修繕をしなかった点を主張して、調停のなかでお母様に対し修繕費を全額負担してもらうよう交渉することになります。

今回の遺産分割調停は、不動産についても話し合いがまとまりそうになく、このままご本人が調停ないし審判を続行することは、肉体的・精神的に大きなご負担になります。

それだけでなく、不動産売却の方法などに関する問題について対応に失敗すると、本来得られたかもしれない利益が得られないおそれもあります。

これだけ難航している事件をお一人で解決することは現実的ではありません。

ぜひ、相続に精通した弁護士に依頼されることをおすすめいたします。

ここがポイント!

調停を不調と判断して審判に移行させるかどうかの判断は、これまでの経緯などを踏まえて総合的に検討する必要があります。争点が多岐にわたる場合には、遺産分割に精通した弁護士に相談するのがよいでしょう。

[投稿日]: [投稿者]:永田町法律税務事務所

この記事が参考になった方はクリック!

同じカテゴリーの相続相談事例 [カテゴリー:遺産分割編]

2019-08-20[カテゴリー]:
一部の相続人が勝手に相続財産を売却したり、自分名義の口座に移し替えたりしようとし…
祖母が亡くなり、相続が発生しました。 祖父や祖母の息子(私の父親)は既に他界しているので、相続人は祖母の孫である私たち3人姉妹です。祖母の遺産は約9000万円の預金と千代田区の実家不動産でした。 長女である私としては、姉妹間のことですし、特に争いごとにしたくなかったの…[サブカテゴリー]:
N家の事例:家系図参考になった!4
2019-08-20[カテゴリー]:
【離婚直後の相続】離婚した場合は相続できない?財産分与の後に遺産分割協議
元夫が亡くなりました。 離婚をして半年後に亡くなったのですが、実際には離婚後も同居をしていた状況です。 離婚をすると相続人ではなくなることはわかるのですが、実態としては婚姻生活は続いているので、 私が相続人でなくなることに対しては納得いきません。 夫の財産は不動産が多いのですが、…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
家族内ドロボーと遺言無効はどう戦う?【優先的に主張すべきなのは】
相続発生前に兄が亡父の預金から無断で引き出しをしていました。 相続開始後も預金の引き出した形跡があります。 無断引き出しを追及しようとしたところ、遺言があることが判明しました。 遺言の内容は兄に一方的に有利な内容で、全ての財産を兄が相続するというものです。 遺言作成当時は父が認知…[サブカテゴリー]:
2019-08-20[カテゴリー]:
姉と同居していた母の貯金額が、働いていなかったのに不自然に多い。姉の夫は税理士な…
母の相続についてトラブルを抱えています。 13年前に父が亡くなりましたので、相続人は姉と私の2人です。 父の相続の際、開示されているもの以外に父名義の現預金はないと母から聞きました。 母の死後、遺産の整理をしていると、母名義の預金が5000万円あることがわかりま…[サブカテゴリー]:
S家の事例:家系図参考になった!7
2019-08-20[カテゴリー]:
相続人の配偶者が口を挟んできており、話し合いが紛糾している。このままでは膠着状態…
遺産分割調停を進めているのですが、なかなか順調に進みません。 父が亡くなり、相続人は母と2人姉妹なのですが、姉だけが細かいことにこだわって紛糾してしまうのです。 特に姉の夫が、話をややこしくしています。分割方法や振り込み方法などについても、いちいち議題になってしまいま…[サブカテゴリー]:
R家の事例:家系図参考になった!3

参考にしたい相続関連記事

2019-08-19
分けられずにモメる
分けられずにモメる分けられずにモメる 相続の遺産分割において現金や預貯金は、遺留分や寄与分の問題があっても最終的には分割できる財産です。けれども、指輪や絵画などはどうでし…
2019-10-30
家元の地位を争うことができるか【日舞花柳流】
家元の地位は、法律上保護すべき地位といえるのか 跡目を争う場合、家元という地位が訴訟の対象となり得るのかが問題となる。地位の確認訴訟といえば、不当な解雇や内定取り消しの場合の従業員としての…
2019-08-18
会社支配のための株買い占めの目安
事業承継対策で問題となる株保有率 「34 51 67 90」 株主の会社への影響力を把握するうえで、覚えておきたい数字だ。 「34」は、株の持株比率「34%」のこと。自己保有株が強制的…
2020-01-03
Q45.遺産分割協議成立後に遺言が見つかった場合には、遺言の効力は認められないの…
認められてやり直しになるが、不自然なタイミングで登場する遺言は無効の疑い。遺言無効確認。 遺言と遺産分割協議の結果についてどちらが優先するのか 結論から言うと遺言の効果が遺産…
2019-08-25
Q15.相続税を安くしたい
相続税の仕組みを知る。相続財産を減らす。評価を下げる。特例を利用する。 相続税を低く抑えたいという思いは強いようである 実際に、相談者の中で相続税がかかる方が増えた。昔はもめ…
2019-02-11
【10カ月の期限を過ぎてしまうと、税理士のミスとされるケースも】相続税申告で時間…
10カ月の期限と戦う相続税理士 時間に対する感覚は、税理士のほうが敏感です。相続税の申告期限は相続開始後10カ月以内です。10カ月というとだいぶ余裕があるようにも思えますが、実際にはスケジ…
ページトップへ

カテゴリ別 相続相談一覧これまで弁護士に寄せられたカテゴリ別相続問題

遺 言
遺言無効を争う
遺留分を争う
  • 遺言無効
    確認訴訟
  • 遺留分
    減殺請求
  • 遺言執行者
    解任
だましうちで遺言を書かせる。財産の不正操作の常とう手段です。遺言無効確認の訴えや、遺留分減殺請求などにより、財産の不正操作と戦います。
遺産分割
財産の不正操作に
要注意!
  • 預金の
    無断引出
  • 名義の
    無断書換
預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を勝手に書き換える。財産の不正操作と徹底的に戦う覚悟がある方のお力になります。
不動産相続
評価や分け方で
モメる不動産相続
  • 評 価
    トラブル
  • 分 割
    トラブル
  • 不動産の
    不正操作
分けられない財産の典型である不動産。不動産の評価について相続人間でモメます。そもそも不動産が相続財産かどうかも問題になります。不動産を独り占めする財産の不正操作と最後まで戦います。
事業承継
同族会社の
内部紛争に勝つ!
  • 取締役の
    不正追及
  • 株主総会
    の形骸化
同族会社の内部紛争や支配権争いでお悩みの方のお手伝いをします。事業を営む方の相続問題は通常の相続以上に複雑です。会社の支配権を勝ちとり、事業を守り抜きます。
国際相続
国外財産があると
どうなるの?
  • 海外財産
  • 海外在住
  • 国際結婚
相続財産が海外にある場合、手続きが複雑になります。国内財産の分け方も絡む紛争を総合的に解決します。
相続税
節税対策の
ポイントを知りたい
  • 税務調査
  • 税務訴訟
  • 相続税の
    還付
生前にどれだけ詳細にシミュレーションすることができたかで、相続税対策は決まります。遺言内容にも影響しますので、多方面からの検討をする意味でも弁護士兼税理士にお任せ下さい。