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Q17.エンディングノートとは違うのか[POSTED]:2019-08-30
エンディングノートは遺言よりも広い。ある意味、遺言よりも有用。日記は税務調査で不利な証拠にもなり得る
エンディングノートというものが出始めたのは数年前から
書店では各種エンディングノートが並んでいるが、エンディングノートの作成はしておいたほうが良いのか。
エンディングノートとは何かということを最初にはっきりしておく必要がある。
エンディングノートは法的なものではないので、各種各様だが、預金通帳の種類や動産、不動産などの財産目録を記入するもののほか、SNSのログインパスワードなどを書き込むものもあるようである。
もちろんネット証券のログインパスワードなどを書きこむものもある。
高齢者はあまりネットリテラシーがないと思われているが、人による。メールを問題なく使いこなせる世代は60歳以下という認識だったが、最近では高齢者でもラインを使いこなしている方が多い。特にサークル活動などで連絡網として利用する必要性が生じると、スマホの普及もあって、ネットに親しみ始めるようである。
エンディングノートについて誤解が生じがちなのは、遺言とは全く異なるものであるということ。
エンディングノートは遺言の役割を兼ねないし、遺言もエンディングノートの役割を兼ねない。
エンディングノートは一般的に、記入式のものなので、書き込む枠や記入事項はもともと印刷してあるもの。
そして遺言は自筆証書遺言の場合、財産目録を除いて基本的にすべてが自筆でなければならず、印刷してある印字や枠がある場合に、無効原因になる。
形式面以上に、遺言とエンディングノートの役割自体が異なる。
エンディングノートはすでに説明したように、どのエンディングノートを購入するかによって内容が異なる。
それに対して遺言は、形式も決まっている。
どの財産を誰にどうするか。
自筆証書遺言であれば、日付などの厳格な様式を満たしていなければならない。
自筆証書遺言で非定型的な内容を盛り込めるとすれば、付言事項の部分。
ラストメッセージとして家族仲良くとか、どうしてこのような内容の遺言になったのか、不平等な分け方にも見えるものの実質的には平等を図っている事情(前回の相続での分け方など)などを書くことができる。
不平等な内容の遺言を書く場合、付言事項でフォローをしておくことを勧めることが多い。
それでも遺言無効確認訴訟を起こされることを予想して、ビデオに録画しておくことも一策である。
付言事項だけではなく、表情や声なども利用して真意を残しておく。
付言事項で思いを残すにせよ、遺言は定型的なもの。
一般的にはパスワードなどは記入しないし、付言事項だって冗長に書くわけにはいかない。
対してエンディングノートは、日々積み重ねていくもの。
日記のように加筆を続けるページについては、作成過程もわかるようになっている。
自由記述的なものもあるし、市販のものをハード情報を記録する媒体として補助的に活用し、さらに日記をつけるような感覚で非定型的なものを別に用意することもできる。
遺言との関係はお互いに代替はできないものだが、遺言もエンディングノートもどちらも重要なものである。
遺言と同様にエンディングノートもぜひ作成すべきではないかと考える。
留意したいのは、日記もエンディングノートも同様に、後日の証拠として利用される可能性はある。
たとえば遺産分割や相続財産の範囲をめぐる訴訟の中で、日記やエンディングノートが証拠になることもある。
税務調査においても日記の記載内容が参照されることもある。
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