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Q29.後継者には51%の株式を保有させれば足りるか[POSTED]:2019-11-05
100%が基本だが、最低限67。65と64の差は意味がない。
自社株式は相続において厄介な存在になる
できれば生前に贈与を済ませた方がよいとして、自社株式の生前贈与について、遺留分の算定に加えない旨の除外合意をするケースもある。
後継者に多くの株式を残すべきであることは、言を待たない。
いったいどのくらいの株式を渡すべきなのか。
結論から言うと100%の株式を渡すべきである。
共同経営の実態があるのであればともかく、そうでない場合は、自社株式を共有させるべきではない。
そもそも自社株式を何%持っているかについては、1%の増減が重要ではない。
もちろん配当を受ける権利としては1株でも多くの株式を持っている方がよいが、そもそも配当は毎期出るわけではなく、必ずしも大きな問題にならないことが多い。
たとえば株式保有率20%と21%。
1%の差はあるものの、何かが変わるわけではない。
20%であろうが、21%であろうがどちらでも意味はない。
ところが特定のボーダーを超えるかどうかの場面では、1%の差が大きな意味を持つ。
34%。
51%。
67%。
この3つの数字が大切になる。
51%。
過半数を持っているかどうかは、会社の基本的な決議を自分の力だけで通すことができるかについて意味を持つ。
取締役の選任も過半数で決まり、取締役のメンバーを決められれば、代表も決めることができる。
67%。
会社の一定の重要な事項について決議をするのに必要な数字である。
定款の変更や増資、事業譲渡、解散などを決めることができるのは、67%の割合を持っている株主である。
この割合を超えることができれば、会社を支配することができる。
34%。
67%を敵対的株主に持たせないという意味で、重要な数字である。
過半数は取れないまでも、一定の重要な事項については、相手にキャスティングボードを握らせないという意味で、防波堤としての意味がある。
自社株式を持つにあたっては、この3つの数字を意識するべきである。
逆に言うと、この数字に達しない場合の1%の差は意味がない。
なお34、51、67の数字は、3分の1超、過半数、3分の2超をそれぞれ意味するので、厳密には33.5%でもいいし、50.1%でも、66.8%でも構わない。
ただしやはり理想は100%。
株主同士で対立している場合、同じ会社の株式を持ち合っている以上、一定のかかわりを持つ必要がある。
計算書類の閲覧請求などをされてしまうと対応する義務が生じる。
相続の場面では相続財産に自社株式が含まれると、遺産分割前に共有状態が生じるので、共有者間で株主の議決権行使に関する話し合いをする必要がある。
配偶者と子供のように、たとえ法定相続分で過半数の持分を持っている側であったとしても、話し合いの儀式をする必要が生じる。
株主総会決議の前に、いちいち共有株式に関する議決権行使の話し合いをしなければならなくなり、会社経営の機動性に支障が生じる。
自社株式はできれば生前贈与や遺言によって、特定の相続人への包括的な承継をしておきたい。
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