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Q7.名義財産の判断基準[POSTED]:2019-07-15
財産を実質的に管理・支配していたのは誰か。特に故人が病床に臥せっていたり、認知症にり患したタイミングに注目する。同居を始めたタイミングも重要になる。
名義財産という概念がある
所有権について名義と実体がズレている財産なのだが、特定の財産について問題になることが多い。
そもそも財産に名義が付されているものでなければ名義財産の問題は原則として生じない。
不動産や自動車などの登録財産のほか、預金債権や株式にも名義財産の問題は生じる。株式は上場株式ばかりではなく自社株式にも、名義財産問題が生じる。上場株式の場合は証券会社の口座名義と実体のズレが問題になるが、非上場株式の場合は株主名簿と実体のズレが問題になる。株主名簿といってもたいていの会社は用意がないことが多く、税務関係の書類などで株主割合を特定していくこともある。
名義財産は、これらの登録財産等に登録されている所有者と、実際の所有者が異なることによって生じる問題である。法律では物の所有者は基本的にお金を出している人間としている。お金を出してもいないのに所有者であるというためには、お金を出した人間から贈与などの物件移転行為があってからこそ可能になる。前の所有者からの所有権を移転する行為がないにもかかわらず、ある日突然に所有者になっていることはない。
他人同士であれば、所有権を移転するのに物件移転行為が必要になることは常識なのだが、家族間のことになると物件移転行為が堂々と行われることも少なく、贈与も書面で行うことは少ない。なんとくなく所有権移転が行われるような気分になっているのだろう。だからこそ、将来はお前にあげるといい残しながらついに遺言を作成せず他界した父の不動産について、既にもらっていたような気分になってしまう。
かくして相続において名義財産は重要な問題になる。
親族間で問題になる多くは贈与の有無である。
売買であれば売買代金の授受という物件と対になる行為によって、証明が簡単で、売買があったのかなかったのかは比較的明確に分かる。
ところが贈与はタダであげることなので、対価性から贈与の有無を証明することができない。
贈与に関する書面が作成されることも少ない。
書面は必ずしも贈与契約書でなければならないわけではなく、何らかの贈与意思が認められれば良いとされているのだが、それがゆえに微妙な書面が出てくる。
厄介なことに書面によらない贈与は、履行が終了しない限り撤回が可能である。
履行が終了したかどうかをめぐっても、対象財産をめぐって問題が生じる。
不動産の場合は引渡や登記、動産の場合は引渡などと、財産によって履行の終了時期は個別に検討する必要がある。
そもそも名義財産についての所有権の帰属はどのように決めるのか
結論から言うと、管理が誰によって行われたかをめぐって、総合的に判断される。
総合的判断に困るケースがある。
通帳と印鑑がバラバラに保管されているケース。
印鑑を一時的に預けていた時期があるケース。
引き出し行為の一部が名義人によってなされているケース。
預金債権の場合は比較的、単純明快だが、自社株式の場合は困難を極める。
株主名簿は存在しないことがほとんど。
そもそもの株式数が不明になっている。
株式譲渡制限がついている会社において、株主総会決議を経ずに勝手に株式譲渡をしている。
株券発行会社であり、実際には株券の譲り渡しが譲渡において要求される要式行為であるにもかかわらず、実際には株券が発行されていない。
名義財産は書面によらない贈与の問題と絡み、所有権の判定基準が総合考慮になっているゆえに、裁判で争われた場合は、関連証拠も多くなり長引いてしまう。
こんなことにならないためにも家族の間でも、何が誰のものなのかはあいまいな形にしない方がよい。
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